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2005.06月号 No.38 通巻239 06月01日発行
TBR株式会社
代表取締役 伴 辰三
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【翔 魅力ある愛知の中小企業(50)】
組みひも伝統技術 
新製造技術で市場を拓け
伝統技術に活路
企業が製品開発を行なう場合、新しい技術にその糸口を見出そうとするケースがほとんどだが、伝統産業にそれを求め、成功している企業がある。組みひも技術を活用して漁業用・産業用ロープを作り出し、さらに環境技術へと応用している TBR株式会社である。
扱いにくい漁業用ロープ 
届かない漁師の声
昭和30年代前半、当時漁網会社社員だった現TBR社長の伴氏は、多くの漁師たちから切実な声を聞いていた。
「漁網を止めるロープが、太く硬くてねじれてかさばり、扱いにくい。
何とかならないか」。
当時、素材が綿から化学繊維へ変わり、綿では2〜3年の寿命だった漁網や漁網ロープが15年程度にまで飛躍的に延ばすことになった。その丈夫さを得た半面、三つ撚りロープのため、一定方向へねじれやすいことや重いこと、それ故狭い船内で扱いにくいという難点があった。 『困っている漁師さんの役に立ちたい』。
しかし、当時漁網や漁網ロープは作れば売れ、量産することが求められていた時代。改良に動き出すメーカーはなく、漁師たちの声は届かなかった。
決め手は組みひも技術 
組みひもによる漁網ロープ
伴社長は漁網製造会社へ21歳のとき入社、昭和43年、40歳のとき出向先の子会社を自ら買い取り、親会社を退職して独立した。

「漁師たちの悩みを解決したい。細くて長く、やわらかくて柔軟性を持ったロープ状のものを作るには組みひも技術が最適なはず」。

組みひもロープを三つ撚りロープの代わりに使うアイディアだった。
組みひもは古くは刀のツカの装飾、現代でいえば和服の帯ひも、羽織ひものように絹糸などを組み合わせて作られた紐である。携帯電話のストラップといえば今では最も身近かもしれない。

組みひもによる漁業用ロープ。大反響を得た。容量・重量とも2分の1に減量することに成功し、1.5倍の網を積んでの出漁が可能になった。漁獲量は増加、ねじれがなく作業性も格段に上がった。

さらに組みひもの持つ「包む能力」に着目、糸入鉛線を組みひもロープに編みこんだ「沈子コード」や浮力体を組みひもロープで包み込んだ「浮子コード」を次々と開発。漁の作業性の向上に大きく貢献した。

沈子コード

浮子コード

「枝縄を有する組みひもロープの新製造法」開発で
一気に用途が広がる

ヒット商品の連発により会社の基盤を築き、昭和50年代以降は独自技術の確立を進めた。中でも「枝縄を持つ組みひもロープ」を製造する技術の開発は、漁業用ロープだけでなく、現在の 同社の売上を支える環境関連用途へも受け継がれる技術となった。

ループ状の枝縄を意図的に出す技術を開発したことにより、組みひもロープの用途が一気に広がった。

漁業用では、「貝の養殖用ループコード」が開発された。
ホタテ貝や真珠貝の養殖用吊り線ロープとして工夫され、貝の耳にあけた穴とループ状の枝縄に交互にテグスを通すだけで、今までの煩雑な固定作業から開放された。

ホタテ貝用ロープと枝縄の部分(右上)

貝の養殖用ループコード

国が認めた環境浄化効果
環境用途では「バイオコード」が開発された。

バイオコード

水の浄化はつまるところ、微生物による有機物分解能力の活用である。水質汚染は、微生物の分解能力を超える大量の有機物の流入により発生する。微生物を大量に固定させることができれば有機物の 分解効率もよくなり、浄化能力も高まる。バイオコードは 組みひもによる、微生物を大量に定着させる巣なのだ。組みひもからループ状の細糸を放射線状に数多く出し、立体的に構成、微生物の集落を大量に形成する。表面部には酸素のある状態を好む「好気性微生物」が、中心部に酸素のない状態を好む「嫌気性微生物」が付着する特性があり、浄化効果を高くしている。

バイオコードによる
河川浄化の施工の様子

ロープ形状のため、どんな場所へも設置できるという特徴を持ち、低コストの水質浄化方法として生活排水、工場排水、下水処理施設など広い範囲で活用されている。

バイオコードは非常に高い評価を受け、1996年にニュービジネス大賞環境賞を受賞、1997年には科学技術庁より科学技術振興功績者として長官表彰を受けた。  

バイオコードで無排水循環水耕システムを
現在、次の事業の柱にと考えているのが「農業分野」である。 水浄化装置と水耕栽培システムを組み合わせ、無排水循環水耕システムを開発。エム式水耕研究所との共同開発で、排水をバイオコードで浄化・循環することで、完全無排水を実現している。従来の水耕栽培の欠点は、一定 温度に保った肥料入りの水を垂れ流し状態で利用するため、エネルギーコストや肥料コストがかさみ、排水による河川・土壌汚染の心配があった。
当システムでは循環無排水のためコスト効率が非常によく、周辺環境に影響を与えない。第一号施設の導入先では「除草の必要がなく手間がかからないのが何より。作物の評価も高い。」と収入の4分の1を担うまでになっている。

無排水循環水耕システム

人のために
原点は「困っている漁師さんの悩みを解決したい」という志で始めた組みひもロープ事業。今では漁業用、環境関連用、農業用をはじめとする多様な用途に利用され、多くの人の「困った」を解決している。社長のこんな一言が印象に残った。「人のために役に立とうという気がない人にはビジネスチャンスが見えてこない」。
                        (取材 中小企業診断士・社会保険労務士 武田宜久)
 
問合せ先
ティビーアール株式会社
〒442-0844 愛知県豊川市小田渕町4丁目63番地
TEL 0533-88-2171
FAX 0533-88-6219
http://www.tbrjp.co.jp/
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