動物毛を更に詳細に顕微鏡観察することにより、ヒトのものか他の動物のものか、人毛であれば発生部位の推定、動物毛であれば動物種などが推定できるとされています。例えば、衛生試験法注解 2005 によると、動物毛の鑑別法は、 (1)外観形状 (2)毛先の形状 (3)毛根の形状 (4)小皮紋理の形状 (5)髄質の形態 (6)髄指数(髄質の太さ/毛の太さ×100) の6項目についての総合判定によると記載されています。試料の毛の型を取ったり、薄い輪切りにしたりして、標本や写真と比較し判定しますが、実際はかなりの熟練を要するため判定は容易ではありません。そこで、動物の種類を判定する場合は、科学的根拠の明確なDNA検査を併用することにより、判定率をかなり向上できると考えられます。
2.動物毛のDNA検査キットの開発
食品の中から発見される動物毛は、多くの場合たった1本で、しかも保存状態がよいとは限りません。この微量な異物からDNAを高感度かつ短時間に検出する手法としては、現在のところ特異的PCRという技術が有効であることから、検出に必要な試薬(プライマー)を最適に組み合わせた動物毛のDNA検査キットの開発に取り組みました。
開発したキットは、各3種類の動物に対応するプライマーからなる4本の検査液で構成されます。図2の手順で検査すると、異物のDNAに当てはまるプライマーだけが反応して、特有のパターンを浮かび上がらせます。これにより異物がどの動物に由来するかを判定することが出来ます。判定できる動物種は以下の計12種です。
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