また、アジア近隣諸国で大量生産される繊維製品と価格面で競争することは困難なことから、愛知県の繊維業界では、多品種・小ロット生産が可能な既存のドビー織機を活用しつつ、他との差別化を図る技術の開発が待ち望まれています。
2.研究内容と技術的特徴
開発した技術は、通常の綜絖に比べ細長い穴を有する長目綜絖を用いることに特徴があります。この長目綜絖を使えば、少ない綜絖枠で複雑な模様を織れることは、以前から理論的には知られていましたが、綜絖枠の上下動を設定することが極めて難しく、実用化されていないのが実状です。
尾張繊維技術センターでは、今回パソコンを使った解析計算を応用することで、この長目綜絖の実用化に成功しました。この方法では製造したい図柄を入力すると、パソコンが綜絖枠の上下動を計算して織機の設定方法を指示します。これにより、通常の綜絖を使う場合に較べて、大幅に少ない綜絖枠で同様の図柄を織り込むことが可能となりました。
この計算には、コンピュータサイエンスの分野で研究されてきた「グラフ彩色問題」の成果が応用されており、平成18年9月15日に特許出願を行っています(特願2006−251339)。
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