1.紫黒米(しこくまい)について
紫黒米は、ぬか層にアントシアニン系色素を含む「有色素米」に属する米です。有色素米とは、玄米の表面が赤、濃い紫、緑色した米のことで、古代に栽培されていたという説から、「古代米」とも呼ばれます。有色素米は、タンニン系色素をもつ赤米とアントシアニン系色素をもつ紫黒米、クロロフィル系色素をもつ緑米に分けることができます。国内の有色素米品種では、色素はすべてぬか層にあるため、精白すると白くなりますが、東南アジアには胚乳内部まで着色する品種も存在します。
近年、有色素米は、鉄やカルシウム、ビタミンが豊富に含まれているため健康食品としても注目されて、地域活性化食材として期待されています。愛知県農業総合試験場山間農業研究所では、山間地域の水稲を利用した地域特産物を開発しており、その一つとして紫黒米の糯(もち)米品種の改良を行ってきました。その結果、「イ糯413」を母とし、「朝紫」を父として、人工交配された後世代から7年間の育成試験を経て「中部糯114号」が選抜されました。中部糯114号は、多収穫性でアントシアニンを多く含む品種であり、現在、「峰のむらさき」として種苗登録を申請しています。
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