繊維製品の各種快適性評価について
愛知県産業技術研究所 記事更新日.10.11.01

尾張繊維技術センター

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環境省では数年前から、地球温暖化防止のために冷房時の室温を28℃に設定したオフィスで快適に働くことを目的とした「クールビズ」や暖房時の室温を20℃に設定したオフィスで暖房に頼り過ぎず快適に働く「ウォームビズ」を呼びかけています。
この呼びかけに対し繊維製品においても、最近では従来の吸水性・通気性・透湿性・速乾性に優れた製品に加え、接触冷温感などの新しい機能性を持ったクールビズに対応した繊維製品や高い保温性と透湿性に優れた製品に加え、吸湿発熱性などの新しい機能性を持ったウォームビズに対応した繊維製品が販売され、関心が持たれています。
以下のとおり、繊維製品の各種快適性を評価する方法についてご紹介します。

吸水性

繊維製品の吸水性の評価は、日本工業規格(JIS)のJIS L 1907で規定されており、吸水速度として@滴下法やAバイレック法などで評価されています。滴下法は、毛のように油分を含んだはっ水性のある繊維製品以外に適用され、試験片に水などを一滴滴下し、その水滴が広がるまでの時間により吸水性を評価する方法です。また、バイレック法は、主に高吸水性以外の繊維製品に適用され、短冊状の試験片の下端を水に10分間浸漬し、毛細管現象により水が上昇した高さにより吸水性を評価する方法です。

通気性

繊維製品の通気性の評価は、JIS L 1096で規定されており、フラジール形法(A法)などで評価されています。フラジール形法は、フラジール形試験機を使用し、円筒の一端に試験片を取り付け一定の圧力を示すように吸込みファンを調整し、試験片を通過する空気量により通気性を評価する方法です。



透湿性

繊維製品の透湿性の評価は、JIS L 1099で規定されており、塩化カルシウム法(A−1法)などで評価されています。塩化カルシウム法は、吸湿剤(塩化カルシウム)を入れた透湿カップの上に試験片を取り付け、まず40℃、90%RHの恒温・恒湿装置内に1時間入れたカップの質量を測定し、その後再び恒温・恒湿装置内に1時間入れた質量を測定し、その質量変化量により透湿性を評価する方法です。

保温性

繊維製品の保温性の評価は、JIS L 1096で規定されており、恒温法(A法)などで評価されています。恒温法は保温性試験機を使用し、恒温発熱体の上に試験片を取り付け、試験片を透過して一定時間に放散される熱損失と試験片を取り付けない状態で一定時間に放散される熱損失により保温性を評価する方法です。



接触冷温感
繊維製品の接触冷温感の評価は、JISには規定されていないため、接触冷温感が評価できる装置で評価されています。この装置は、一定の温度(通常室温+10℃)に保たれたボックスを試料表面に接触させた直後に、低温側の試料に移動する熱流のピーク値qmax(接触冷温感評価値)により接触冷温感を評価します。


尾張繊維技術センターでは地域の身近な試験研究機関として、繊維に関する技術相談、繊維の分析及び繊維製品の各種評価試験の他、産業資材やプラスチック製品の評価試験など様々なニーズに対応した試験を行っています。