事例1)甘酢ショウガ漬(ガリ)の漬汁が濁って臭いがする
寿司に付いてくる漬物として甘酢ショウガ漬(ガリ)があります。甘酢ショウガ漬は通常は酸味があるため、加熱殺菌しなくても低温保存すれば流通できるはずです。しかし、調味液に含まれているわずかな糖やクエン酸を乳酸菌が発酵し、不快臭が生じてクレームになる事例です。対策としては脱塩した材料への汚染を阻止すること、調味液中の酸の種類を変えるなどの措置が有効です。
事例2)キムチ(容器包装)が膨れている
キムチも加熱しない食品のため、乳酸菌が増えすぎてこのような事例となることがよくあります。海外からキムチを輸入するとき、容器の膨張を防ぐため、詰める前にキムチを発酵させてガス抜きをしているものもあります。夏場に気温が35℃以上になると、Leuconostoc mesenteroides、Lactobacillus brevisなどのヘテロ発酵型(乳酸のほか、エタノール、炭酸ガス等を生産)の乳酸菌が爆発的に増殖することがあります。特にLactobacillus brevisは酸を消費するため、糖が少なくても増殖してしまうことが厄介です。そのため食品業界では、「暴れん坊乳酸菌」として問題になっています。現状対策としては、低温管理が一番有効です。 |