地域資源を活用した商品開発 〜開発事例紹介〜
瀬戸窯業技術センター 記事更新日.14.8
あいち産業科学技術総合センター 
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■ 「花祭」向け新商品開発 〜文化財とのコラボレーション〜

瀬戸地域の飲食器、ノベルティ製造業においては市場・販路の開拓が課題となっています
が、小規模企業が多く、コスト競争を強いられる既存の大規模市場への参入は困難です。
瀬戸窯業技術センターでは、瀬戸地域が得意とする手作り感を活かしたやきもの作りを振興するため、国の重要無形民俗文化財であり、本県の地域資源でもある「花祭」の関連市場に着目するとともに、本県振興施策の一つである「あいち山村振興ビジョン」に基づいた奥三河等山間地域の観光振興の展開に協力し、一昨年度から東栄町を始めする花祭開催地域向けの関連製品の開発を行ってきました。

 一般に土産品には「場」に固有の産物、文化、風物を分かりやすく表わしたシンプルなイメージが求められます。花祭はこれまで「鬼」のイメージに集約されてきましたが、舞型神楽であるこの祭には、美しい祭具が彩る祭の空間に数十種の舞が展開し、舞手と参加者が一体化する魅力があります。
新規製品の開発においては、このような祭の魅力を表現する新しいイメージの提案が課題となります。
一方で、花祭は集落ごとに伝承されてきたため、祭の系統だけでなく、祭りの次第、衣装、祭具の仕様など、伝承地間で様々な差異があります。それら地域の個性は各伝承地の誇りであり、アイデンティティでもあります。

そこで土産品開発においては、花祭の全体的なイメージを分かりやすく表現すると同時に、そのイメージを損なうことなく各地域の個性を把握し、随所に活かすため@花祭の素朴で豊穣なイメージとA地域性、共通性両面からのアプローチの2点を開発コンセプトとし、素地は有色せっ器土、加飾は白化粧土と下絵を主としました。
また、今回のアイテムについては、用途のあるものという要望から「湯呑」に絞り、それぞれの地域に対してデザイン提案を行いました。その結果、@古戸地区花祭会場竣工記念品1種、A御園地区花祭お返し記念品3種、B布川地区花祭お返し記念品1種、の計5点が採択され、瀬戸地域の2企業が製造した2400点が各地区花祭等において配布されました(写真1)。

■ 「道の駅 瀬戸しなの」向け新商品開発 〜ご当地グルメとのコラボレーション〜

地元瀬戸においては一昨年度より、品野陶磁器工業協同組合への開発支援として、同組合のアンテナショップである品野陶磁器センターに隣接して開業した「道の駅 瀬戸しなの」向けの新商品の提案を行いました。
対象とした地域資源としては、地元産食材である「瀬戸豚」とB級グルメ「瀬戸焼そば」です。瀬戸焼そばとは昭和三十年代、深川神社参道を中心に始まったもので、具体的には、蒸し麺に具材は豚肉とキャベツ、これに豚の煮汁や醤油ベースのタレを使ったものを指します。

企画・開発した皿は瀬戸豚をイメージし、豚を側面から見た形状としました。また、構造上、底面中央を少し高く上げ、全体に浅いスリットを設け、更に底周りには溝をつくることにより、麺に絡んだ余分なソースや油が、スリットを通じて溝に溜まるよう設計しました。ハンドリングやスタッキングも検証を重ねました。
また、土や加飾については、同組合の窯元4社がそれぞれ得意としている土や釉薬・絵付けで独自に行うことで、統一した形状ながら多様なデザインのバリエーションとなっています(写真2)。
この皿は「道の駅 瀬戸しなの」のレストランで使用され、隣の品野陶磁器センターで販売されています。
また、同陶磁器センターのマークとキャラクターとして活用されている「ツッチとホノ」(テーマ横に掲載の画像)は当センターのデザイン提案によるものであり、地域資源の掘り起こしから、それらを活用した商品企画・開発、材料の試験・評価、販路開拓に至るまで、広く陶磁器に関する相談・依頼を受け付けています。