1.はじめに
三次元CADやCAE技術が進み、デザイン性・性能のより高い複雑な三次元形状の工業製品が設計され、同時に製品開発サイクルの短縮も求められるようになっています。意図したとおりのデザイン性・性能を実現するためには設計どおりの形状に加工されていることが重要で、加工後に製品の三次元形状を精度よく効率的に測定し、検証することが3Dものづくりの中で求められています。三次元形状の測定には、現在主に以下の三つの方式の測定機が用いられています。
(1) 接触プローブ式の三次元測定機
(2) 光学式の非接触三次元測定機
(3) X線CT
従来から利用されてきたのは(1)の接触式三次元測定機で、測定機の先端にルビー製の測定球がついており、測定球が測定対象に接触したときの接触点の三次元座標値を出力します。測定精度は1〜数μm程度で非常に良いのですが、一点ごとの測定のために測定時間が比較的長くなります。
(2)の非接触三次元測定機では、レーザや縞パターンを投影し、三角測量の原理によりセンサやステレオカメラなどにより測定します。測定精度は数10μm〜0.1mm程度で、カメラによる測定では画面全体の測定が一度にできるため、測定時間が短くなります。最近では3Dスキャナとも呼ばれ注目されています。
(3)のX線CTでは、測定対象に様々な方向からX線を照射し、透過データ画像から三次元形状を計算します。測定精度は一般的に0.1mm〜1mm程度ですが、他の測定機と比べ内部形状を測定できる特徴があり、測定も速やかに行えます。図1は当センターが保有する (1)〜(3)の方式の測定機です。
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