3.射出成形CAEを用いた解析事例
解析の中では、例えば、繊維強化樹脂でのそり変形抑制や寸法精度に対する含有繊維の効果をみることができます。
図2は炭素繊維で強化されたポリアミド6(PA6)の射出成形後の画面方向へのそり変形を要因解析した例です。通常、そり変形は(1)樹脂のPVT収縮(温度・圧力分布に起因する収縮)、(2)材料異方性、(3)金型温度、(4)形状、により発生するとされます。図2中Aはすべての要因が考慮された状態で、どの要因が一番影響しているか判断することができません。そこで、(1)PVT収縮(図2中 B)、(2)材料異方性(この場合は炭素繊維による異方性)(図2中 C)を除いて解析したところ、PVT収縮はほとんど影響がありませんが、材料異方性を除外すると成形品が大きく変形することが分かります。
このことから、含有繊維によってそり変形が抑制されていることが分かります。 |