この4月から同法が改正されて、定年制を導入している企業はすべて65歳までの雇用の継続を段階的に引き上げることが義務付けされました。この改正は年金の支給年齢を引き上げざるを得なくなったことによるものといわれています。 ところで、改めて定年制はなぜあるのかと考えて見ますと、なかなかそれらしい定義づけができません。企業や行政機関のように雇用する側から見れば、重大な支障がない限り定年まで雇用する義務がありますし、雇用される側から見ればそれは権利といえると思います。
一方では、一部の企業を除けば経営者には定年がありませんし、税理士、弁護士、開業医などの自由業では自らの判断で定年=リタイアを決めるしかありません。
私自身が経営者になってやがて35年経ちます。年齢も69歳と半年以上になります。健康の具合も平均的だと思っています。そうした観点に立てば60歳で働くことをやめてしまうのはあまりにも若すぎるという気がします。65歳定年は当たり前といえると思います。
もう一つは、定年後の人生をどう考えるかということだと思います。65歳定年としても平均余命は10数年から20余年あります。定年を迎えて、これで人生の大部分は終わってしまったと思うのか、これからが「働くという制約」にとらわれずに自由に過ごすことができる、晩年を謳歌しようと受け止められるかによって違ってくると思います。もちろん経済的な裏打ちも十分考慮に入れなければなりませんが。
愛知中小企業家同友会の労務労働委員会では「高齢者雇用安定法への対応」について6月中旬に会員に対してアンケート調査を実施しました。会員365社から回答を得ました。それによれば「対応した」企業が45%、「対応していない」が55%となっています。未対応の企業も現段階では
喫緊の問題ではないので、いずれ対応されると思います。しかし、個々の問題も浮上してきています。例えば技能伝承として有能な人材があるが、すべての人がそれに該当するわけでもない。雇用延長をしたい人と、したくない人との線引きをどのようにするのか。雇用延長した人の処遇、給与とか労働時間をどうしたら良いのか。単に法の改正に伴う対応といっても、中小企業にとっては大きな課題といえると思っています。
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