わが「愛知県」は、生活者にとって、今、住みやすい都市だろうか。また、この地を訪れる旅行者にとって魅力ある街として評価されているだろうか考察してみたい。
愛・地球博開催によって世界から脚光を浴びたわが「愛知」は、このスピード時代の変化の中で、“兵共が夢の跡”のごとく世の中から忘れ去られようとしている。しかし、産業愛知は、トヨタ自動車を頂点として広くすそ野に拡がる工業の発展により、20数年間工業出荷額において日本一の座を明け渡していない。とにかく元気な愛知である。
地理的には、日本列島の中央に位置し、昔から交通の便も良く、濃尾平野の肥沃な土地から農作物も豊富である。三大河川という良質で豊富な水源を持ち、そして三河湾からは近海魚が獲れ、食料には恵まれている。産業発展の原点、歴史的には戦国時代を生き抜き、天下を治めた織田信長・豊臣秀吉・徳川家康という三大英傑を生み、歴史的史実には事欠かない。
そして経済的には江戸時代からこの地では「からくり人形」づくりが盛んであったことが、その後の機械加工業を誘発し、その技術・技能は近代産業として時計、合板、楽器、レンズ、鉄道車輌、水道関連機械、ガス機器、食品加工機械、ミシン、瓦、計測器など様々な加工組立が行われてきた。また一宮・尾西の毛織物、染色加工、瀬戸・多治見の窯業、西三河の鋳物、知多の木綿、酒、みそ醸造など多様な「ものづくり」産業が生れた。このように、歴史的にも地理的にもこれだけ多種多様な産業が集積している例は世界的にもない。そして、今、鉄道車輌、自動車、宇宙・航空機、セラミックス、工作機械、機器産業、繊維産業など日本を代表する世界的な産業が集積していることは高く評価されているところである。
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