ところが、世界市場に目を転じると、そうした日本企業が高い市場シェアや利益を上げるにはほど遠い現実に直面する。世界シェアでみれば、約1/3をノキア(フィンランド)が占め、モトローラ(米国)、サムスン電子(韓国)がこれに続く。日本企業はエリクソン(スウェーデン)との合弁事業を行うソニーを除けば、すべてを足しても1割にさえ満たない。
国連貿易開発会議(UNCTAD)の2006年版「情報経済報告」によると、携帯電話の契約者数は全世界で21億7,118万人(前年比23.5%増)となり、今や総人口の3人に1人に普及した。しかも、途上国での利用が11億7,496万人と半数以上を占めている。つまり、これまで固定電話を引くことのできなかった貧しい地域への普及が急速に進んでおり、携帯電話は年に数億台のペースで拡大が見込まれる有望な分野である。しかしながら、その新たに携帯電話を購入する人のほとんどは、これまで電話さえかけたことがない人々であり、彼らが望む製品と日本企業が得意とする高機能の携帯電話との間には大きなギャップが存在する。
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