ハノーバーメッセ会期中の4月22日に開催されたこのサミットは、サービスロボットについて、現在、日本・ドイツで行われている研究や実用化の実例などが発表されました。
基調講演として、ドイツ側からドイツ研究所人口知能部のロボット研究グループ長フランク・キルヒナー教授が、ドイツにおける可動性自律システムをもったドイツのロボットの例についてスピーチを行いました。
ドイツでは、このようなシステムを持つロボットは、例えば爆発物の探知、物流分野でのコンテナチェックなど人間の手に負えない場所、あるいは人間では危険が伴う作業に従事しているケースが多く、このような分野でモバイル・サービス・ロボットは正確なモニタリング、人間とのコミュニケーションを通して、人間に代わる問題解決手段として非常に重宝され、需要も増しています。
日本側からは産業総合研究所の柴田上級研究員が、高齢化社会におけるサービスロボットの役割ということで、セラピー効果のあるアザラシ型ロボット「パロ」の実例を発表しました。
パロはアニマルセラピーと同じような効果を狙うロボットで、日本では既に実用化され、老人ホーム、介護施設などの主に高齢者向けの施設で用いられていますが、現在、海外20か国以上でも試験的に使われています。
この子犬サイズのアザラシ型ロボットは、高齢者向け施設内でペットあるいはそれ以上の存在として扱われ、高齢者の脳の一部を活性化させる実験データが得られているなど、高齢者同士のコミュニケーションを増加させたり、リハビリテーションの促進などに有効な手段として使われています。
次にモバイルロボットの家庭やヘルスケア分野での利用について、ドイツ最大級の研究所フラウンホーファーのロボット工学長であるマーティン・へーゲルさんから同研究所で試作している家庭内でのサポートロボット「The Care-o-Bot」の説明がありました。
彼らが大きなチャレンジとして開発している家庭内でのサポートロボットは、日本が追求しているような人間型をとらず、家庭で期待される作業に適した形態を追求したものとなっています。
日本が追求しているような人間型ロボットは長期的展望と考えており、家庭向けにはもう少し小さく機能を特化したモジュールロボットが有効との考えを持っているようでした。
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