AARIアジア中小企業レポート
株式会社愛知アジア総合研究所(AARI)

記事更新日.14.06

製造業を中心とした愛知県および東海地域の中小企業に向けて、アジア各都市とのコネクションと様々なソリューションに関わるノウハウをもとに、技術支援、品質管理支援、環境対策支援等、ソフト面での海外進出をサポート。第一弾として、中国江蘇省常州市への進出サポートを展開中。
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■第20回 BtoBマーケティングを考える(3/3回)


執筆者:株式会社愛知アジア総合研究所 代表取締役 乗松薫
1970年名古屋市生まれ。1996年早稲田大学法学部を卒業後、岩手朝日テレビを経て、2000年ヤフー株式会社入社。2003年、名古屋にて株式会社ミルゲート(旧 有限会社エヌ・プランニング)を創業。以後、WEB領域を中心に、ナショナルクライアントから中小製造業まで、数多くの企業の国内およびアジア地域へ向けたプロモーション業務に携わる。専門領域は国内およびアジア市場へのプロモーションプランニングおよびコピーライティング。2012年3月、株式会社愛知アジア総合研究所を設立し、代表取締役に就任。


主役は東南アジア向けマーケティングか!?

2回に渡って国内市場に向けたBtoBマーケティングについて考えてきましたが、今回は海外に向けたマーケティングについて考えてみたいと思います。

数年前までは、製造業を中心とした海外向けマーケティングといえば、圧倒的に中国向けが主役でした。

・工場を建てたい
・合弁先を見つけて欲しい
・日系に製品を売り込みたい
・市場調査をして欲しい
・雑誌、テレビ、百度に広告を出したい
・地下鉄の看板は買えないか?
・テレビ通販に商品を出したい!!
・スーパーマーケットに口座が開けないか

などなど、進出からプロモーションまで、実に多岐にわたる問い合わせが我々にも寄せられていましたが、実際には「何となく海外」みたいな方々からのものが大半を占めていて、10件の問い合わせで1件、打率1割で仕事になれば良い方といった感じでした。

ところが一昨年の尖閣問題以降、主役の座は完全に東南アジア向けに移って来ていて、タイやインドネシアなどの東南アジアに関する案件数が、恐らく中国の倍以上になってきています。
ただ、実際には「なんとなく海外」層が中国から東南アジアに移動したといったのが本当のところのようで、今度は東南アジアの打率が1割程度に落ち込み、その代わり中国の打率が圧倒的にアップしました。恐らく現状4割ぐらいなのではないでしょうか。問い合わせの質というか本気度が、かつてと全く違うのです。

今の時期に中国に関して相談に来られる方は、中国のデメリットをよくよく理解し、十分に検討を重ねてもなお、中国への進出に必然性を感じていらっしゃる企業の方々が多く、

・販売したい製品や展開したいサービス
・中国向けの価格設定
・マーケティングのターゲット(業種、代理店、エンドユーザー 等)

といったものへの明確な意識を持っています。
また、最近は殆どの方が「工場」ではなく「市場」としての中国を求めています。

AARIでは、中国向けのマーケティングに関してはリアルなマッチングとインターネットを利用したプロモーションの両面でサポートしていますが、クライアント側の意識が明確だと当然マーケティングの全体像が描きやすく、精度も高まります。
また、そんなクライアントの方々とミーティングを重ねる中で、ヒントをいただき、新しいWebサービスの立ち上げも実現しました。

 
中国、そして東南アジアへ向けた日本製造業紹介Webサイト

この3月から中国向けにサービスインしたWebサービス「日本精英企業网〜B2B JAPAN」http://cn.b2bjapan.jp/ は、中国向けに日本の優秀な製造業を紹介する製造業の集合サイトで、クライアントの方々とのミーティングの中から着想を得て企画に入りました。

現在愛知県内の3社の企業が掲載されていますが、このサイトの大きなポイントは、
百度のリスティング広告を利用して、前回のレポートで述べた検索ユーザー=顕在層を、それぞれの企業紹介ページへダイレクトに誘導するところにあります。
具体的には「日本精英企業网〜B2B JAPAN」に掲載されている企業の中に、例えば「レーザー加工」を展開するA社があったとすると、百度で「レーザー加工」と検索したユーザーを、直接A社の紹介ページへ誘導します。

サービスインしたばかりなので、成果はこれから判明してきますが、増え続ける東南アジア向けマーケティングへのリクエストにもお応えできるよう、4月以降には英語版のサービスインも検討を進めており、中国版同様、各国Googleのリスティング広告を利用したマーケティングの実施を予定しています。

 

中国企業による日本へのプロモーション案件が急増

最後に、AARIおよびミルゲートに寄せられる「中国企業」からの相談について少し触れておきましょう。

実はこの数カ月、日本の媒体にインターネット広告を掲載したいという中国企業からの相談が、かなりの数寄せられています。
これは、昨年の11月末でBtoBサイト大手「Alibaba」が、日本企業向けに展開していた「アリババ中国輸入サイト」を閉鎖しまったことが影響していて、日本市場に向けて製品をアピールする場を無くしてしまった中国企業が、インターネット広告の掲載による誘客確保の動きに走っているからなのですが、衣類や医療品などのOEM製造から、コンテナ会社、検品会社、ITサービス会社等まで、いずれもBtoBではあものの業種は多岐に渡っており、中国企業の日本市場に向けた販売意欲の高さを感じています。

3回に渡ってBtoBマーケティングについて掲載してきましたが、マーケティングの目的は、とどのつまりは「企業の生き残り」です。
まずは是非、皆さんの企業の強み=USPを明確にしていただき、その上でまずは国内からBtoBマーケティングを始めてみてください。
そして、その効果の実現は勿論のこと、次のステップへ進むヒントを見つけられることを祈っております。

 


※AARIが提供するサービス、及び常州市プロジェクトの最新情報はAARIのWEBサイトhttp://www.aa-ri.co.jp をご覧ください。情報は随時更新予定です。