つぎに、売手と買手間の取引、代金決済に関する条件、決め事は貿易商談を進める上で重要な事項です。取引条件には、モノの移動とリスクの移転にかかわる貿易条件とカネの支払いにかかわる決済条件があります。この2つの条件は、貿易取引を構成する車の両輪のようなものであり、また貿易というものを料理するナイフとフォークのようなものともいえます。このナイフとフォークの使い方を知らなければ、怪我をしたり消化不良を起こすことになります。 貿易条件(Trade Terms)は、受渡し条件ともいわれます。受渡しの時点、リスクの移転について国により解釈の違いがあると困るので、国際的に共通の了解事項や合意事項を国際商業会議所(ICC)がとりまとめて、インコタームズ(INCOTEMRS)として貿易条件をまとめています。
@FOB,C&F,CIF
海上輸送が在来貨物船の時代にながらく使われてきたのが、FOB,C&F,CIF条件で、代表的な貿易条件として今日でもなおなじみ深いものです。
FOB=Free on Board 本船渡し
(工場渡し価格に積出港で船積するまでの費用を加算した価格)
C&F=Cost and Freight 運賃込み
(FOBに揚港までの海上運賃を加算した価格)
CIF=Cost,Insurance and Freight 運賃保険料込み
(C&Fに海上保険料を加算した価格)
売手から買手へのリスクの移転については、この3つの条件はすべて積地条件といって、積港で船に積んだ時点でリスクは買手に移転します。たとえば、CIF条件で海上輸送中に事故があり貨物が損傷を受けた場合に、買手は売手にクレームしても筋違いです。船積が完了した時点でリスクは買手に移っており、買手は売手から買い取った船荷証券、保険証券をもって船会杜、保険会杜にクレーム手続きをとらなければなりません。
Aインコタームズ2000
インコタームズは、貿易取引の変化に合わせて改訂を重ね、また受渡しの実情も、在来船からコンテナ船や航空機の利用拡大により大きくかわりました。これらを踏まえて改訂された「インコタームズ2000」が、現在もっともひろ
く利用されている貿易条件です。(別表参照)
インコタームズ2000は、積地の工場渡し条件から揚地の指定場所までの持ち込み渡しまでの13の貿易条件があります。それらは、Eグループ(出荷条件)、Fグループ(主要輸送費抜き条件)、Cグループ(主要輸送費込み条件)、Dグループ(到着条件)の4つの基本パターンに分類されます。リスクの移転については、E,F,Cグループは積地条件です。Dグループは揚地条件で、売手は貨物の到着までの責任を負います。
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