STEP 7.重要事業を復旧するために最大のネックは何かを明確にする
重要事業等の復旧に要する時間は、どこか特定のネック部分の復旧時間に依存することになります。いかにこの部分の復旧時間の短縮を図るかが課題になるわけです。
ネックとして想定されるものを羅列しますと、社会インフラ、通信インフラ、事業を構成する業務・工程・部門、物流システム、情報システム、データ、キーマンを含めたマンパワー、機械、設備、金型、原材料の調達ルート、商品の調達ルートなどです。これらを参考にその事業復旧にとってネックとなるものを抽出し、さらに優先順位付けしておくことが必要です。
STEP 8.巨大リスク発生時のマニュアルとしての大計画(以下、マスタープラン)を策定する
STEP 7までがいわばBCP策定の下準備です。STEP 7までの作業で明らかになってきたことを踏まえ、巨大リスク発生時のマニュアルとしてのマスタープランをこの段階で策定することになるわけです。
マスタープランにその骨格として最低限そなわっているべきものを項目だけ列記しておきます。 (1) 巨大リスク発生時に発動すべき非常時指揮命令系統の明示
(2) 本社等重要施設・機能の確保方法
(3) 社内外のコミュニケーションの確保方法
(4) 情報システム等のバックアップ方法
(5) 製品・サービスの継続供給のための代替案
巨大リスク発生時にはこれらの項目についてどうあるべきかを検討し、大まかな方向性や方針的なものをマスタープランとして定めます。
STEP 9.被害軽減のための予防策としての事前対応策を検討する
分かりやすいものとして耐震補強工事はここでの検討項目です。また防災グッズを用意することもここでの検討項目です。STEP 8 同様、その骨格として最低限そなわっているべきものを項目だけ列記しておきます。
(1) 生命の安全確保方法と安否確認方法
(2) 店舗・事務所・工場および設備の被害軽減対策とその実施計画
(3) 二次災害防止についての行動ルール
(4) 地域との連携および貢献についての行動基準
(5) 同業者等との共助、相互扶助についての枠組み
(6) 数日間のサバイバルを想定した必要物資等についての利用基準
STEP 10.マスタープランを行動レベルまで落とし込んだアクションプランを作り実行する
実際に巨大リスクに襲われた時にマスタープランを実行に移すためのもっとかみ砕いたアクションプランが必要です。アクションプランの作成を含めて、ここでも骨格として最低限そなわっているべきものを項目だけ列記しておきます。 (1) 巨大リスク対応組織の編成および事業継続マネージャーの選任
(2) アクションプランの作成とその実行
(3) 運用マニュアル、規定、手順書、チェックリスト等の作成
(4) 保険、災害特別融資などファイナンス面での手当
(5) BCP全体のシミュレーションの実施(一連の緊急時行動の妥当性検証)
STEP8〜10の部分がいわば狭義のBCP(事業継続計画)に相当します。ちなみに、広義のBCPとはすべてのSTEPを含めます。
STEP 11.全従業員にBCPを啓蒙、普及すべく教育や訓練を行う
教育とは知識を習得させる取組みであり、訓練とはその習得した知識を使いこなして行動できるようにさせるための取組みです。有事の際、従業員一人一人の行動が重要になるわけですから、教育や訓練は当然に重要課題となります。
STEP 12.一年単位などで全体の仕組みを自己点検し見直しを図っていく
一年に一回など一定期間毎にマスタープランおよびアクションプランについての実施状況や結果を経営トップと事業継続マネージャー等で確認し、問題点や不具合についての対策を検討して仕組みそのものをレベルアップさせていくことです。
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