不況をモノともせず、繁盛する店のノウハウに学ぶ
長谷川道春 記事更新日.09.05.01
株式会社ブレーンプランニング
代表取締役 経営コンサルテタント
■PROFILE
経営コンサルタント
マーケティング総合企画、経営改革、販売戦略、特産品開発・発掘(地域ブランドづくり)、起業家育成・創業支援、人材育成、商店街活性化、販売促進計画等、マーケティング関連の諸事業に幅広く対応。

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連絡先
〒461-0001 名古屋市東区泉一丁目8−2 澤田ビル
電話 052−951−3321 FAX 052−971−3336  
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1.メイ・アイ・ヘルプ・ユー? お手伝いすることはありませんか?
100年に一度と言われる大不況の嵐が吹きあれ、「買えるけど、買わない」買い控えの生活行動が定着しつつあり、デパート、大型SC、スーパーマーケットも売上げ減に歯止めがかからないなど、消費市場が大きく変わって来ています。
政府も不況打開のため、定額給付金の支給、太陽光発電導入促進、省エネ乗用車の購入助成や高速道路通行料の大幅値下げ等、消費を刺激する政策を次々と実施していますが、少子・高齢化、経済成長策、金融不安、雇用対策など課題が山積し、現状を打開するコレと言った解決策が見いだせない状況にあります。
消費市場においては「モノが溢れ、欲しいモノが見つからない」という声も聞かれ、商店はもっとお客さまに近づき、ニーズやウオンツを汲み上げ「お客さまの暮らしの助け手」にならないと、賢い消費者を顧客にすることができません。
「欲しいモノやサービスを提供し」顧客をつくりだしている店と、「仕入れたモノ」を、ただ並べているだけで、消費者から見放された店との、二極分化が顕著となっています。
2.定額給付金を消費拡大につなげる行動を、一店逸品運動で集客を!
定額給付金の支給を受けて地方自治体・商工会議所・商工会等が 「プレミアム商品券」を相次いで発行しています。
10〜20%の割増しの買い物ができるのが特徴で「買い物は地元の商店街・商店で!」と地域経済を活性化させ、マチもミセも元気にするのが目的です。
しかし、地元の消費アップにつなげるには、小売店の「私の店だけの商品・サービスの魅力づくり」プラスα  の努力が欠かせません。
大府・東海商工会議所がすすめる「一店逸品・逸サービス運動」は、定額給付金に加え「地元の商店街・商店」で買い物する機会を促進する相乗効果が期待されます。
ただ「割引率が高い」だけでは大型店の戦略が勝り、売上げチャンスを逃がすことになります。
3.勝ち残るために、売れる仕組み【マーケティング】を実践する
環境変化の中で勝ち残るためには、カンと経験の商法から脱皮し、「欲しいモノを、欲しいトキに、欲しいダケ、欲しい価格で、他にないサ−ビス」を付加して提供することが必要です。消費市場はネット販売、通信販売など無店舗販売システムの参入が激増し、競争相手は無限大となり、顧客獲得競争はますます激しくなっています。
過剰な競争時代にあって自店が生き残るためには、「私の店だけの差別化」が急務です。
・独自性のある商品づくり
・納得できる品質と、それに見合った価格
・立地(地域・風土)に合った店舗づくり
・メッセージを主とした情報発信(販売促進活動) 等に
常にチエとアイデアを出す、マーケティング指向の経営が欠かせません。
・お客さまへの約束を掲げ、経営理念が確立されている
  
同じ買い物をするなら、あの店で…と言われる店は、経営者の人柄、信用を重視した 「哲学」をしっかり持っています。
「店はお客さまのためにある」「笑顔で感謝!」「当店のお約束」「縁を大切に」「給料はお客さまから頂くもの」…
・売れるモノをつくる、徹底した商品企画(仕入れ)が勝負
  
価格競争に巻き込まれない、「ここでしか買えない商品やサービス」を、お客さまの視点で選定し、開発・仕入れをする。
「あったらいいなあ〜」の声に耳を傾ければ、何を提供したら共感を得ることができるかが分かる。
いま、ロハス(生活と環境に優しい生活)を支援する商品がトレンド!
・お客さまの役に立つ情報の提供・提案、独創性を持った販売促進
  
「お客さまの知りたい事はコレではないですか?」「こんな使い方はどうですか!」等、 暮らしの役に立つ情報の発信で顧客を囲い込む。
・入り易く、出やすい店づくり
  
「立地環境にあった、商品構成と店舗演出力」で、他店との違いを出す。
いつも、欲しいモノがよくわかるディスプレイがされている。
POPも気が利いていて、読むだけで楽しく、役に立つ。
見るだけでも、気軽に入れる。
駐車場、駐輪場がある…など。
・顧客満足度経営(CS)の実践
  
いつの時代にあっても、地元にしっかり根をおろして、正直な商売をする。
消費者は、人の声を一生懸命、真剣に聴いてくれる親切な店で買い物をします。
「困っている事を解決してあげる」「相手の立場で考え行動する」
「1人ひとりの個客に合わせた、心をこめた接遇、気配り」
「顧客サービスと組織化、ファンづくり、ちょっと得する事」
「名指しで挨拶、笑顔で声かけ」…など。
 4.チエとアイデアで、顧客の心を捉え繁盛するお店の紹介
【一点集中で差別化】
■万年筆に特化し、勝ち残る
 竹内文具店  岡崎市伝馬通1−22 電話:0564−23−0864

町中の文具店は、急激な時代の変化に対応できず廃業する店が後を絶たないが、竹内文具店は経営方針をガラリと変え、「高級筆記具(万年筆)の対面販売」に集中し、好事家はもとより、万年筆に初めて出会った若い人をもその書き味で虜にしている。
・万年筆は数十万円のものから、海外ブランド品や国産品まで40ブランドという圧巻の品揃え!
・販売手法は「徹底した対面販売」と「万年筆の良さを体験していただくキャンペーン」に主眼をおき、万年筆ブームの一翼を担っている。

【商品政策で差別化】

■大型店のやらないこと、やれないことをする
 サンフルーツ大坪  名古屋市港区錦町17-23 電話:052-381-8779


食品スーパーマーケットにお客を獲られ、苦戦が続く果実専門店が多い中、スタッフ2名が“フルーツアドバイザー(果物博士)”の資格を持ち、専門店でしかできない「商品仕入れに独自性を発揮」している。
・専門店で大事なことは、品質、価格、接客、情報提供と考え、美味しくて、安心して召し上がっていただく果実の提供に徹している。
・自然の恵み、太陽の贈り物である果実の素晴らしさを伝えるために「相談、会話を大切」にし、商品ひとつひとつの食べ頃、食べ方や、生産者の詳しい情報を伝えている。
・2006年、食品に関する豊富な知識に基づき、地域における食品小売業の模範的機能を果たしている事業者として、(財)食品流通構造改善促進機構の「匠の店」の認定を受け、店舗の見学や研修を積極的に受け入れている。
【サービスで差別化】

■「居るだけで楽しい店」「会話が楽しい店」」をウリに、ファンを取り込む
 ムーンライト[リーガルシューズ岡崎店] 岡崎市本町通1-10 電話:0564-23-9261


“ようこそ!” みんなが楽しくなる接遇に重点を置き、リラックスして品選びができる、居心地の良い空間づくりに知恵を絞っている。
その結果、お客さまの滞留時間も30分以上、リピート率も全国のリーガルシューズでトップクラス。
「履いてご覧になりたい靴がありましたら、いつでも声をかけて下さい」と、一歩下がって、お客さまが気軽に品選びができるように、気配りをしている。
・お客さまの心を揺さぶる「くつコミ情報」とHPで、顧客が倍増!
内容は、売り手と使い手をつなぐ、役に立つ情報がいっぱい詰まっています!
例えば、「足元を見る…とはどんな意味?」“服にお金をかけるより、靴にお金をかける人が尊敬される”、“仕事ができる人は小物に気を遣う、靴と時計と鞄はきちんとしたものを!”など、HPでも、お客さまの立場に立って、読んで、見て、なるほどと思っていただける情報、お客さまにとって価値のある提案をすることで、共感を共有することに心がけている。
・DMも単にお礼の便りでなく、「一人一人の顧客の特性にあわせ、読んで得する情報に特化」し、数度にわたって送り、ご縁を切らさないよう努力しています。
定期的な“チラシの折り込み”や、“くつコミ情報紙”の発信と、顧客の維持と新規客獲得にアイデアを駆使し、販促活動に力を注いでいる。
【販売手法で差別化】

■研ぎの技をうる
 正長刃物店 岡崎市連尺通1-7 電話:0564-21-2313


研いでこそ、刃物の切れ味が生まれる、と、全て店内で刃付け(研ぎ)してから手渡しており、「研ぎができる専門店」として、品質の高さと丁寧な仕事で信頼を得ている老舗。
「プロの目利き」で価値づくりにかけ、DIY大型店や量販店との違いを明確にしている。
・鍛冶職人が手作りで仕上げる「高品質な包丁」や「カスタムナイフ」「大工道具」も「専門店ならでは」の品揃えと高品質で勝負している。
「良く切れる包丁を使えば調理が楽しくなり、料理も美味しくなります」
 包丁、ハサミや各種刃物の「研ぎ直し・修理」などを店内で行っており、プロの料理人・職人から家庭の主婦まで、幅広い支持を得ている。
【顧客満足度経営で差別化】

■売った後の面倒見を徹底する
 ふとんの山田屋 大府市江端町3−10 電話:0562−48−7373


ふとんに入るのが楽しくなる!! 健康な人をつくる「快眠を届ける」オリジナル商品づくりと売った後の面倒見の良さで、好調を維持している。
「お客さまの声に素直に耳を傾け、苦情や不満の中身を検証」し、オリジナル商品の開発に活かしている。
・スタッフのミーティングは欠かさず実行、他店が気づかないこと、できないことにチャレンジし「価値のあるモノづくり」を目指している。量販店やスーパーなどの低価格攻勢に負けないよう、すべての商品に「自店ブランドのタグ」を付け、品質保証をしており、「枕1個でも、メンテナンスを徹底」している。
・お客さまの信頼を得るためにしていること。
笑顔でお迎えし、笑顔でお見送りする。「次もこの店で買いたいなぁ〜」と言わせる接客を心掛けている。
・お客さまの気に入った商品には、「積極的に触って」いただき、「ためし寝」を勧め、「新しい発見と満足をお買い上げいただく」ことに力を注いでいる。
・「品質」「品揃え」「面倒見の良さ」をウリにし、必ず感謝の便りを出し、良好な人間関係を永続させ、財産としている。
【顧客囲い込みで差別化】

■お客さまの声は、どんな些細な情報もキャッチし、店舗運営に反映
 ノエル・ド・ティオ  小牧市小牧3−556 電話:0568-75-5820

一人ひとりのお客さまを大切にし、おもてなしすることを徹底しており、ひとつの例が「お品はショーケース越しに渡さない」。お客さまは店頭でお見送りする心配りなど、当り前のことをキチッと守り、競合が激しい環境にあってファンが多い専門店。
・小牧(地域)の良さを全面に出し、地域密着の商法に徹し、地元で獲れた産品を使った、独自の商品開発に常に取り組んでいる。
・店主の気持ちが、お客さまの共感を呼び、「お客さまとの絆が繋がっていくサービス」を実践している。
「トナカイクラブ」の会員は、13,000人余。楽しくてお得な特典がいっぱいで、会員は順調に増加しており、「入会金500円で、季節のイベントや得する情報の発信」を行っている。
・ネーミングやパッケージにも、「小牧山シュー」「小牧ロール」「ラピオ通りの半熟チーズ」「各種フルーツの完熟ゼリー」等、地元の地名等を採用し、お客さまに親しまれるアイデアは、消費者に好評。