アクセス解析でホームページの再活用を!
小坂 英雄 記事更新日.10.01.05
有限会社 東海総合経営 代表取締役
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経営コンサルタント業務 、創業支援、行政書士業務、 企業の経営者・従業員に対する研修業務、 書籍・コラム等の執筆などの諸事業に幅広く対応

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1.はじめに
私は、平成15年に一念発起し、独立開業しました。それまで勤めていた銀行を退職したのですが、開業資金は100万円しか持っていませんでした。経営コンサルタント、行政書士として営業活動を行うに際し、様々な集客方法を考えましたが、チラシやDMなどは、多額のお金がかかってしまいます。ましてやCMを打つことなどできません。

そこで解決策として浮上したのが「ホームページ」でした。開業までの半年間、毎日コツコツとページを作っていった結果、開業日には1000ページ以上を公開していました。おかげで1日1000前後のアクセスがありました。開業3日目には最初のお客様が来て、事業を軌道に乗せることができました。
その後9か月で100万アクセスに達しますが、役立ったのが「アクセス解析」です。私は開業前より導入していました。ホームページを作り、そこに来訪者がどうやって来ているかを分析することにより、貴重なマーケティングデータを得ることができます。これを利用しない手はありませんね。

2.ホームページの活用事例
[活用法1] 業務の獲得
私は、@公的機関での創業支援(愛知県・瀬戸市)、A経営コンサルティング、B行政書士業務、C講演・研修、D執筆、などの仕事をしております。当然、これらの仕事を獲得することが、ホームページの重要な役割となります。おかげさまで、日本国内だけではなく、海外からも仕事をいただいており、業務獲得という点では、満足する結果が得られています。私の著書も、ホームページからAmazonにリンクし、簡単に購入することができます。毎日私のホームページからどれだけクリックされて、実際に購入してもらえたかというデータも把握しています。
また、私が外出している間、寝ている間にも、業務をアピールし、私のもとへ仕事を運んでくれています。これは、お問い合わせの手段として、電話だけでなく、メールやFAXなど多様な受け皿を用意していることが一つの要因です。まさに「24時間働いてくれる営業マン」です。ありがたいことですね。
[活用法2]ニーズ把握とサービスの開発
電話やメールで直接問い合わせをしていただければニーズが顕在化するのですが、ほとんどがそうではありません。ホームページをご覧になっても、問い合わせに至らないことの方が多いでしょう。そんな潜在的なニーズを知らせてくれるツールが「アクセス解析」です。潜在ニーズを知ることにより、自社の事業展開に活かしていくのです。
[活用法3]顧客とのコミュニケーション
ブログやTwitter等でこまめに情報発信することにより、顧客や知人との「ごぶさた」を和らげることができます。全然顔を合わせていなくても、「小坂さん、この前京都に行ったんですって?竹林の道、あの写真いいですねぇ!」などという会話が生まれるのです。顧客との距離を縮めることに威力を発揮します。私は、数年前まではブログを集客目的で活用していましたが、現在ではコミュニケーション目的に主眼を移しています。平成16年以降、ブログの無料化、ブログサービスの増加によりブログ作成の敷居が極めて低くなったことで、私も方針を転換したのです。
[活用法4]趣味や研究の発表
先ほど写真について触れましたが、これは完全に趣味の世界ですが、写真がきっかけで関東の方から業務依頼をいただいたこともあります。その方も、たいへん写真がお好きだったとのことです。
また、最近では英語の勉強の場としても活用しています。普段使う言葉を英語で考えれば、きっと上達が速いだろうと思い、ブログの英語化に努めています。時間のあるときに一気に過去の文章を英語化しています。
その他、まだまだホームページの活用方法はあるのですが、今回は主要なものだけにしておきます。

3.「アクセス解析」で得られるマーケティングデータ
(1)毎日のアクセス数推移
 (図1)をご覧下さい。ピーク時で1日のアクセス数(ページビュー、以下PV)が11,460、ユニークユーザが7,192です。これは解析対象としているページ全体の統計です。1人のユーザが約1.6ページ閲覧している計算です。アクセス数に関しては、把握している方も多いのではないでしょうか。全体的にアクセスが増加しているなら、その増加の要因を調べます。特定のページにアクセスが来ているのか、それとも全体的に増えているのか。逆に減少している場合は要注意です。競合サイトにアクセスが流れている可能性が高そうです。場合によってはクリック広告の利用により、アクセスを呼び戻さないといけないかもしれません。

(2)検索エンジン別アクセス
次に、検索エンジン別のアクセスです。(図2)をご覧下さい。これは現在も傾向として変わっていませんが、YahooとGoogleの二強時代が続いています。それぞれ検索表示の仕組みが違うので、SEO(検索エンジン最適化)の対策も簡単ではありません。Googleについては、 Googleウェブマスターのためのガイドライン などを参考にすると良いでしょう。

(3)キーワード別アクセス
(図3)は、キーワード別のアクセスデータです。「契約書」関連のアクセスが圧倒的に多いのが分かります。もしみなさまの望むキーワードでアクセスが得られていない場合、何らかの対策を練る必要があります。ちなみに私はこの時期「会社設立」というキーワードを重視していたのですが、競合が多く、苦戦していました。
あと、(図4)の下に「以下61,439word」とありますが、これがいわゆる「ロングテール」です。ほんの少しのアクセス数しか稼がないキーワードが「しっぽ(tail)のように」大量に存在しています。私のサイト上の、実に多彩なキーワードが検索対象になっていることがこれで分かります。ページのタイトル、本文をはじめ、公開された文章全体が検索対象になるのです。従って、アクセスを伸ばす最も簡単な方法は、「ある程度のボリュームを備えること」とも言えます。専門用語の一つ一つが、アクセスを増やすための材料となるので、コツコツとページを増やしていくことをお勧めします。


(4)リンク元サイト
(図4)は、私がとても重視しているデータです。どこから私のサイトにやってきたかを示すデータです。私のサイト内(小坂行政書士事務所など)、検索エンジン経由、あるいは他のサイトからリンク経由で来訪しているというデータです。ここに今まで見なかったURLからのアクセスがあると、それは「知名度の上昇」を示しています。私の場合、他人のブログで紹介されたり、Q&Aサイトで勝手にリンクを貼られたりすることも多くあります。


このリンク元のアクセスデータを使って、面白い分析をすることができます。
私は、 お問い合わせページ を用意しています。このページにどこからアクセスがあったかというデータを取ります。そして、問い合わせに至っていないアクセスを調べます。これにより、潜在的なニーズを知り、ホームページ掲載内容の改善策が浮かび上がることがあります。
(図5)をご覧下さい。どのページからお問い合わせページへ訪問したか、そのトップ5は、@小坂行政書士事務所トップページ、Aプロフィールページ、B小坂行政書士事務所報酬案内、C法律クイズ(私のサイト)、D講演ページです。上位3つは、どの業務を依頼したかったのか把握することが困難です。4番目の「法律クイズ」は、雑誌への寄稿やTV番組の監修依頼などにつながっていますが、単に知識欲を満たすために質問をしてみたかっただけかもしれません。
15番目に「酒類販売免許代行」のページがありますが、実はここはアクセスの割に問い合わせが多い状況が続いています。逆に8番目の「法人設立代行」については、あまり問い合わせに至っていません。特に、「主要業務・商品の一つで、問い合わせページへの移動は多いが、全く問い合わせや注文に至っていない」ものについては、抜本的な対策が必要です。説明が不足しているのか、価格が高いのか、何が原因かを探る必要があります。そして、対応後にまたアクセスデータを検証します。
過去最も問い合わせが多かった日は、1日20件ものメールや電話が来ました。ところが、このときは報酬をホームページに表示していない時期で、問い合わせがあって見積もりを提示すると、そのほとんどが成約に至りませんでした。これは時間の浪費です。ですから、現在ではなるべく報酬を表示して、余分なやりとりを減らして、「本気の相談」だけを受ける工夫をしています。

4.最後に
現在では、 Google Analytics が、無料でアクセス解析を提供していますので、私もInfoseekに加え、これを併用しています(図6)。導入も簡単なので、お勧めしています。

特に「地図上のデータ表示」(図7)は、非常に面白く、ついつい時間を忘れてデータを眺めてしまいます。ラテンアメリカやアフリカなどからのアクセスがあると、とてもワクワクしてきます。海外と言えば、ドイツ、イギリス、米国などから実際にお仕事をいただいています。ホームページが取り持ってくれたご縁です。しかも私はこういったデータや数字が嫌いではないので、アクセス解析を楽しむことができているのかもしれません。SEOに凝っていた頃は、「アクセス日誌」までつけていたことがあります。「仮説」と「検証」の繰り返しです。
マーケティングデータを得ることは、それほど簡単ではありません。しかし、アクセス解析は、保有しているホームページに簡単な記述を埋め込むだけで、これだけの貴重な生データを得ることができます。みなさまも、ぜひアクセス解析を活用し、ホームページの隠れた機能を貴社の事業発展につなげて下さい。