不況の今こそスキルアップを!各種IT系職業訓練・講座の状況と政府の景気対策
伊藤吉樹 記事更新日.10.03.01
藤吉PC工房 代表
■PROFILE
愛知淑徳大学 非常勤講師
情報メディア専門学校 非常勤講師
職業訓練校講師(本年度は4箇所で受け持っています)
Photoshop Illustrator アドビ認定インストラクター

■問合せ先 藤吉PC工房
yoshiyan-i@nifty.com
1.長引く不況 ピンチをチャンスに!今こそスキルを磨こう!
2008年9月のリーマンショックから始まった世界的な不況から、2010年3月で1年半もの月日が過ぎました。
日本経済は、いまだに明確な景気回復のきざしを見いだせない中、不安な状況に苦しんでいます。
そんな今だからこそ、ピンチをチャンスに変えるために、時間を有効活用して、自分自身のスキルアップに取り組みませんか?
今回のテーマは、10年間パソコン講師をしている私自身の経験も踏まえ、IT系の職業訓練およびIT系専門講座といった「パソコンの勉強」についてのお話をいたします。

2.失業者向けIT系職業訓練校の内容と状況
私がインストラクターとして独立開業した10年前の2000年も、今と同様に景気の良くない時代でした。
当時から、失業者を対象としたIT系の職業訓練校で教えていましたが、後に大学や専門学校で教えた数も合わせれば、延べの受講者数は何千人単位だろうと思います。
2000年以降、景気は上向き基調でしたから、「職業訓練」で教えることも少なくなり、大学や専門学校で教える仕事にシフトしていきました。
世界同時不況の影響が深刻化してきた昨年あたりから、状況が一変した感があります。
大学や専門学校の学生さんの就職率が急激に悪化し、昨年の後半あたりから「職業訓練校」で教えるご依頼が急増しました。

3.職業訓練の内容例
この記事を書くにあたり、最寄の職業安定所に出向いて、職業訓練コースの一覧表を資料として頂いてきました(毎週金曜日にコース一覧を更新しているようです)。
全部で50のコースの案内があり、そのうちIT系のコースは、7割の35件、そのうちPC基礎が26件、Webが5件、CADが3件、プログラム開発は1件でした。
やはりIT系の講座は受講側にも人気があるようです。

そのうち、私がご案内するコースは、WebやDTPといった制作系のコースが多く、最近ではDTPでの講義の需要が少なく、Webの講義の需要が多いようです。

一例ですが、一般的なWebコースの流れを簡単にご案内します。

・ PC基礎(Excel、Word、Powerpoint等の場合もある)
・ ビジネスマナー
・ HTML
・ CSS
・ 画像処理 Photoshop
・ 画像処理 Illustrator
・ コーディング Dewamweaver もしくは HomepegeBuilder
・ JavaScript(オプションの場合が多い)
・ Flash(オプションの場合が多い)
・ CGI もしくは PHP(オプションの場合が多い)
・ 作品作成

こうした内容で3ヶ月勉強します。
同じWebコースでも、学校が変わると重点項目や内容が異なります。

訓練校で教える期間が終わると、受講生の方々は、実務実習の受け入れ先の企業さんへ現場訓練のために分かれていきます。実習先を決めるためには面談があり、作成した作品が重要な要素になります。

不況の中、受講者が増え、受け入れ企業が減っているのが頭の痛いところで、学校側も四苦八苦して受け入れ先を探しています。
実習先にそのまま継続して勤務できる場合もありますが、実習期間終了後、仕事を探し始める方いらっしゃいます。
いずれであっても実習生にとって現場の仕事に触れる経験は、何より貴重な経験になるでしょう。

企業の皆様も、職業訓練生に、こうした実習訓練の機会を与えてあげてください。

問い合わせ先(愛知県の場合)
独立行政法人 雇用・能力開発機構 あいち
http://www.ehdo.go.jp/aichi/index.html

4.月額10万円の手当つき職業訓練制度
民主党が政権公約で掲げた、
『月額10万円の手当つき職業訓練制度により、求職者を支援します』
という制度が、既に実施されています。

この制度は原則雇用保険を受給できない方を対象としています。
世帯の合計年収が300万円以下であることなど、受給対象の要件が規定されているので、ご興味のある方はWebサイトから詳細をご確認ください。

厚生労働省 無料で職業訓練
http://www.mhlw.go.jp/bunya/nouryoku/training/jinzai.html

昨年から職業訓練への手当てが厚くなり、受講制限も緩和されています。

教える側からすると、支給金を目的として、職業訓練で許される上限数で授業を休む人が増えないか、心配な面もあります。

5.雇用調整助成金による企業内講座と企業内失業者
厚生労働省は、一定の要件を満たした企業に対して雇用調整助成金を助成しています。
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/josei/kyufukin/a01-1.html

要件を満たした企業は、職業訓練等の活動をするように規定されており、こうして発生するIT系の講習もあります。

「企業内失業者が600万人に」という2009年度の年次経済財政報告が話題になりました。
http://www5.cao.go.jp/keizai3/whitepaper.html#keizai

総務省発表の完全失業率は5.1(2009年12月)ですが、こうした企業内失業者を含めると、数値は跳ね上がってしまうでしょう。

6.県や市の関連で開催されるIT講座
県や市の関連で、リーズナブルな受講料金設定で受講できるIT講座もあります。

株式会社国際デザインセンター
http://www.idcn.jp/corp.html

主催の画像処理系講義を、昨年の暮れに栄のナディアパークでおこないました。
http://www.idcn.jp/seminar/computer.htm

岐阜県大垣市のソフトピアジャパンでも、各種のIT講座を開催しています。
http://www.softopia.or.jp/index.html

私もWeb系の講義を何度か承りました。

目的に応じた講義がなかなか無いようで、他県から受講されている方もいらっしゃいます。
これ以外にも、Web検索するなどして目的とするIT系の講義を探して受講なさってみてはいかがでしょうか。

7.勉強会を活用しよう
IT系の勉強会に参加するのも良いでしょう。

中部のWeb業界では、「WCAN(ダブキャン)」
http://wcan.jp/
という勉強会が有名です。

またDTP業界では、「DTPの勉強部屋」
http://study-room.info/dtp/index.php
という勉強会もあります。

カメラマンの勉強会である「中部電塾」
http://www.denjuku.gr.jp/sibu/chubu/version2010/
という勉強会も、一般のユーザーにもやさしい勉強会を開催しています。

私も何度か参加させて頂きましたが、大変勉強になり、刺激を受けました。

8.国政も国民も前向きに生きていこう
長引く不況の中、国会は相変わらず「政治と金」の問題で空転しています。
もっと前向きな議論をして欲しいものですし、でなければ困ります。

雇用されている方、失業中の方、状況に限らず勉強して自分自身を成長させることが、より重要になってくる時代なのでしょう。

皆さんもピンチをチャンスに変えるために、「パソコンの勉強」に取り組んでみてはいかがでしょうか?


【参考サイト】
独立行政法人 雇用・能力開発機構 あいち
http://www.ehdo.go.jp/aichi/index.html

厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/

株式会社国際デザインセンター
http://www.idcn.jp/corp.html

ソフトピアジャパン
http://www.softopia.or.jp/index.html

WCAN
http://wcan.jp/

DTPの勉強部屋
http://study-room.info/dtp/index.php

中部電塾
http://www.denjuku.gr.jp/sibu/chubu/version2010/