優れた中高年パワーを適材適所へご紹介
長井利浩 記事更新日.07.02.05
有限会社エス・オー・エス・ネット 代表取締役社長 
■連絡先
有限会社エス・オー・エス・ネット
〒460-0003 名古屋市中区錦2丁目15番22号 りそな名古屋ビル
TEL 052-222-6055・6058  FAX 052-231-6052
http://www.sos-net.co.jp/
創業、新分野開発、経営革新などを考える中小企業の皆さんが気軽に相談できる機関として、あいち産業振興機構では数多くのサービスを提供しています。

「アイデアを事業化したい」「経営改善を図りたい」「ISOを取得したい」こんな要望を経営(経営・金融等)・技術(物づくり・環境・エネルギー・IT等)に関する専門家である統括マネージャーと担当マネージャーが相談に応じ各種支援情報の提供を行いバックアップします。

今回紹介する有限会社エス・オー・エス・ネットは、「優れた中高年パワーを適材適所へご紹介」をモットーに豊富な経験、知識、ノウハウを持つ中高年を必要とする企業に紹介する人材支援事業(業務委託・職業紹介・コンサルタント)を行っています。

平成14年6月に創業以来、行政機関、各企業及び登録者のご支援を受けながら企業理念の実現を目指し活動中です。

■創業の動機

長井社長は大手商社に在職中、中高年が培ってこられた優れた技術、経験、ノウハウが活かされないまま終わってしまうことに疑問を感じていました。また、日本の製造業が、近い将来、中国などの追い上げにより、厳しい立場に陥ることに危機感を持っていました。

「物づくりの工場が主に中国に移転し、技術を習得していく。一般消費財に続いて耐久消費財も生産コストが安いということは、国内の物づくりが根底から覆される。 物づくりの基盤が崩れてしまう。何とかしなければならないという強い危機意識がありました」。

「今から4年前は多くの企業は60歳定年でした。ほとんどの人が定年で会社を離れます。何らかの知識、経験、ノウハウを持った色々な分野のスペシャリストもいるはずです。優れた知識、経験、ノウハウを持った人達 を活かせる場を提供するような仲立ちをする会社が社会的に必要となる。 また、年金が繰り上がっていく中で、健康で仕事につきたいという人達の働ける場を創るということは大事なことで、これが広がっていけば社会のため国のために役立つ大事な仕事だと考えたのです」。

■ベストマッチングを目指して

愛知県は自動車産業の好調に支えられ人手不足が伝えられています。しかし中高年を取り巻く雇用環境は必ずしも良好とはいえません。その理由を長井社長は「中高年の持つパワーを企業側が気づいていない、中高年も自分の能力を必要とされていること、活かせる場があることを知る チャンスが少ない」ことにあると考えました。

そこで長井社長の考えに共感したトヨタ系部品メーカーOBの、生産技術・生産管理に精通した人、トヨタ生産方式に長けた人や海外事業の経験豊富な人、半導体製造に強い人たち6名で経験豊富で優秀な中高年を企業に引き合わせる仕組み(マッチングシステム)づくりを目指し、有限会社エス・オー・エス・ネット(Senior On-demand Supporters Net)を立ち上げたのです。

中高年の方々と企業とのベストマッチングを目指した同社の仕組みづくりに妥協はありません。

「求人先からこのようなことができる中高年を探してほしいという依頼をいただきます。他の企業では履歴書等を見て紹介するようですが、当社では専門分野をもった 上述の、経験豊富な構成メンバーが、企業が求める人材に対して候補者が出てきたとき、本当に求人先の技術的な課題、要求に合う人材なのかどうかを面談することによって判断します」。

「企業からの求人案件が十分理解できない場合は構成メンバーが訪問します。マッチングは求人先の内容を正しく理解しなければ正しい人材は出てきません。正しく理解するために求人先の企業を訪問してどこが問題なのかどこに課題があるかを調べます。ここまでやることによって、適材な人材がいるのであれば間違いなく企業が必要とする人材ということになります」。

「このプロセスが非常に大事です。結果として適材な人材が見つからなければ求人先にお断ります。

これによって同社が目指す「適材適所 必要な人材を必要とするところへ」が可能となるのです。

 

■効果的な解決方法の提案が魅力

同社のベストマッチングを目指す厳しい姿勢が、中高年を受け入れた企業にとって多くの成果をあげることとなります。

「上場企業から問い合わせがありコンサルタント契約を結びました。企業側は設備投資をすることで合理化を図り、生産性を上げ、人員削減をという計画でした。私達の考えは最初に設備投資ありきでなく現状分析から入り現状の生産性のどこに問題があるかを精査することにより改善案が出てきます。 そこで、工程改善により生産性を上げられないのか、更に設備投資をするのかを検討します。お金を使わず生産性を上げるわけです。また中小企業の考え方は“資金がないから困ったな”ですが私どもは、“仕組みを変えていくんです”というやり方ですから非常に喜ばれます」。

■実績の積み重ねで存在意義を高める

創業当時は訪問企業に同社の理念を説明しても「中高年は考えていない」「処遇の問題がある」「組織上難しい」等々否定的な企業が多かったそうです。しかし序々に企業の理解も深まり「こういう分野の人材を探してほしい」との要望を受けるようになりました。そして現在では50社との契約がまとまりました。

「私どもは売上げ先行ではありません。企業が求める最適な人材をいかに見つけるか、それを一つ一つ積み重ねることによって、いい仕事に就けたと求職者に喜ばれる、求人側 にもいい人を紹介してくれたと喜んでいただく。これが当社の最大の喜びです。一つ一つの関係を大事にして信用を作っていくことで認知度が高まりこの会社が存在する意義が高まっていくと思っています」。

今年、団塊の世代の定年退職が始まります。国は法律で定める定年年齢を65歳に延長しましたが働く意欲を持つ中高年と、中高年が持つ豊富な知識、経験を求める企業との出会いの機会は十分ではありません。長井社長は高度で専門的な知識を持つ人材を必要とする企業に橋渡しすることは日本の産業界のレベルアップにもつながると考えています。

同社の理念が共感を呼び、中高年の働きがいと、企業の成長、発展に結びつくことを期待しています。

(取材・文 小藤経営労務事務所 小藤省吾))
 

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