作業工程の改善意識が生み出す特許商品で販路開拓を目指す
代表取締役 岡田 定夫  
株式会社 岡田建工
■主要事業
土木・上下水道工事、建築業、特許商品の開発・製造・販売
■問い合せ先
株式会社 岡田建工
〒444-1323 愛知県高浜市田戸町2-1-1
Tel 0566-52-5111
http://okadaweb.co.jp/

1977(昭和52)年創業の岡田建工は、「勉強が趣味」の岡田社長が住宅の基礎工事やエクステリアの施工からスタートした建設会社。三河湾にほど近い製造工場が点在する地域で、土木工事や上下水道・配管工事、建築などを行う総合建設業として事業を展開。現在は、下水道工事などの公共事業が大きな割合を占める。 岡田社長の勤勉ぶりは、社内の壁一面に飾られた30以上の資格証書から容易に想像がつく。創業前に勤めていた大手自動車部品メーカーがQC活動の取り組みに盛んだったことから、現在も業務効率化に対して人一倍意識が高い。 安心・安全・信頼・快適な「モノづくり」をモットーに、日頃から施工工程の改善やそれを実現する商品開発に取り組む姿は従業員の意識向上にもつながっている。


配管位置決め装置「カンイッチ」
マンホールなどの立坑に従来の施工方法より
短時間で正確に配管を固定する特許商品


クレーム件数ゼロの誇り

岡田建工が工事を通じて徹底していることは、高品質で正確な施工。創業時から依頼主の思いや工程・期間など細かく精査した施工を心掛けている。今までの施工実績に対して一度も苦情がないことは誇りであり大きなつよみでもある。 「作業の効率化に向けて改善できるプロセスが現場にはまだまだある」(岡田社長) マンホール内の下水道配管設置工事は、従来くさびを使用して配管を固定するが、作業時間や施工の精度にバラつきがあることも多かった。そこで岡田社長は、施工時間の短縮や精度を高める自社独自の施工商品の開発に着手。商品のサイズや使用する素材などの決定はスムーズに進み、配管を確実に固定する「配管位置決め装置『カンイッチ』」が誕生する。 岡田社長の培ってきた経験や発想力が、他社にはないオリジナル商品を生み出す原動力となっている。


従業員から

「あたり前」からの脱却がより高い品質を生み出す。
現場監督 浅山 光司 さん
「現場にいる者は現状の施工方法が不便だと思っても「あたり前」すぎて誰も疑問を抱くことがない。その中で、岡田社長の冷静かつ客観的な気付きに触発され、以前より改善意識が高くなった」岡田社長の商品開発を一番近くで見てきた浅山さんも、「カンイッチ」をはじめとする開発商品の市販化をとても待ち望んでいる。


課題は「販路開拓」だった。

施工現場の効率化および品質向上にむけて開発した配管位置決め装置「カンイッチ」は、特許を取得するほど独自性の高いオリジナル商品。しかし、販売を検討し始めた途端に、岡田社長は大きな壁にぶつかる。普及対象が限られ、販売の適正価格も見当が付かないのだ。 「どうやって売ったらいいのか・・・」。 販路を見出せない岡田社長は地元高浜市商工会に駆け込む。相談を受けた高浜市商工会から返ってきた答えは「『経営革新計画』を使いましょう」。 しかし、「経営革新計画」が何なのか分からない岡田社長は、まず支援制度と概要について勉強し、高浜市商工会と二人三脚で申請書の作成から支援制度の活用方法まで検討する。その後承認を得て、いよいよ販路開拓に取り組んでいくこととなる。


「支援」と「専門家」の導入で、第2の商品開発も実現

早速「カンイッチ」の販売にむけ販路開拓支援制度を活用。「経営革新計画」を通じて紹介されたあいち産業振興機構の専門家とともに販促ターゲットの選定やPRに着手した。 さらに岡田社長は第2の開発商品「地中埋設配管の固定装置『カンベット』」の開発にも取り組む。商品化にむけ、大学教授(工学博士)によるアドバイス、「経営革新計画」の支援メニューである「特許関係料金減免制度」や「愛知県中小企業融資制度」も活用した。 「いろいろ勉強になったよ」(岡田社長) 岡田社長はさらなる商品開発に意欲を燃やす。 新たな人脈が広がり、商工会、愛知県、専門家と困った時にそれぞれ相談できる環境が整ったことは、中小企業の経営者にとって何よりも心強いことだった。



「知る」ことでスムーズな資金調達が可能に


「金融機関からの融資がスムーズだったのは何より効果的だった」(岡田社長) 「経営革新計画」の承認を受けたことで、“愛知県の認定企業”という信頼を得たことも大きかった。 「経営革新計画」前には知らなかった特許申請費用の減免制度は、第2の開発商品「カンベット」で活用。あいち産業振興機構の支援も受けやすくなるなど「『経営革新計画』を知ったことがいちばんの成果だった」と、岡田社長は振り返る。 また、地元の金融機関に「経営革新計画」の制度が浸透したことで、市内10社以上の中小企業が「経営革新計画」を活用。地域の中小企業の活性化にもつながっている。


海外も含めた販路開拓


商品PRのため、岡田社長は来場者数が8万人超の「下水道展」へ出展する。名刺だけでも100枚以上、パンフレット1,200枚以上配布という結果をうけ、今後に期待を寄せている。マスメディアを介した宣伝効果もあり、九州など全国から問い合わせが入ることもある。今後は実用化にむけた調整と作業効率の違いを官公庁や同業者へPRすることを継続していく。 「海外展開も視野に入れて販路を開拓していきたい」国内のみならずインフラ整備が発展途上の韓国やマレーシア、タイなど海外にも目を向ける岡田社長。 「『カンイッチ』が販売できるようになれば、年商は現在の5倍が見込まれ、間違いなくうちの主要商品となるだろう」。


次のステップにむけて新たな課題に取り組む。

後継者育成や、販売に特化した会社の設立など課題も多い。今後は自社商品のブランド力を高めていくことが岡田社長の目標である。


経営革新のポイント