ホームページにも強みを活かす!(第1回)
重村氏 記事更新日.06.11.20
ホームページ責任者
株式会社 折松
代表取締役 蒲敏紀

■問合せ先
西春日井郡春日町下之郷高札96番地
TEL : 052-409-5647  FAX : 052-409-5696
http://www.orimatsu.com/
Email:info@orimatsu.com

■事例企業の概要

 

株式会社折松概観

今号からは新たな事例企業をご紹介する。

西春日井郡春日町で、食品梱包資材製造・販売を主業とする株式会社折松だ。折箱製造商店として昭和24年に創業し、現在の代表取締役蒲氏で三代目となる。売上の約7割は、コンビニエンスストアに弁当を納入する米飯ベンダーであり、その他の売上比は円グラフ(グラフ1)の通りとなっている。ネットショップに関しては約3年前から独自の取り組みをはじめ、月に数件の注文が入ってくるという状況だ。立ち上げには、市販のネットショップ構築ソフトを購入して、すべて自社の手作りで公開に至るという大変パワフルな企業である。当時のネットショップへの月間訪問数は約200件で、訪問者が実際にYahoo!などの検索エンジンで入力した検索語句のベスト5は以下の通りであった。当時は、そのほとんどが折松を知ったユーザからのアクセスであったことが読み取れる。

検索語句ベスト5  

折松 93件
株式会社 折松 39件
サルッチュウ 33件
株式会社折松 11件
http://www.orimatsu.com/  10件
3回に渡る本稿では、自社制作したネットショップの刷新から公開までをご紹介していく。 当初のネットショップ刷新の目的は、現状の少ない人員で売上アップにつなげることであったが、議論を重ねていくなかで、『食品に関する高い技術と豊富な知識をもって提案する会社』にしていくことへと変化していった。

第1回目の本稿は、この方向性を定めるに至るまでの経緯についてご紹介していきたい。

■ ネット戦略

折松の主要な取引先は、売上の7割を占めている米飯ベンダーである。米飯ベンダーと取引することは、食品に携わる最先端技術を蓄積する機会となり、食品業界では欠かすことのできない「安全」「安心」に関する最新事情を知る有効な術となっている。米飯ベンダーの品質管理社員から直接指導いただくだけに、食品工場の品質管理に関するノウハウには大変たけた企業なのだ。しかし、企業経営という視点からは、1社依存の財務体質は問題であるため、徐々に米飯ベンダー以外からの受注割合を増やしていくことが課題であるとの認識だった。
 

米飯ベンダー以外に対して販売している商品は、その大半は弁当容器であり、次いで手袋・洗剤・アルコール類であった。これらの売上高比率を向上させていくためには、顧客に商品を選んでもらう決め手となる理由が必要だ。取り扱いの商品そのものには、折松の独自性を折り込むことは困難を要すため、蒲社長とホームページ担当者である重村氏との間で、ネットショップの方向性をよく吟味し、『食品に関する高い技術と豊富な知識をもって提案する会社』とすることを決めた。これは、これまでの米飯ベンダーとの取引があったからこそ培われた折松独自のノウハウであり、米飯ベンダー以外に付加価値を訴えていこうというネット戦略だ。具体的には以下の4つを重点にアピールしていくポイントとして明確化した。
(1)
お客さまの「安心・安全な食づくり」をワンストップでお手伝いできること
(2)
品質管理スキルを活かした支援ができること
(3)
食材以外にもあらゆるモノを提供できること
(4)
米飯ベンダーとの親密な取引実績を訴求し、そこで培ったノウハウを提供できること
また幸運なことに、同業者におけるインターネット活用という点においては、約半数が会社概要を公開するという程度のホームページに留まっており、検索エンジン対策(SEO)などにも全くといって良いほど目が向いておらず、業界そのものがIT活用にあまり積極的でないことが伺えた。

これまでは、ネットショップとして食品に関連した商品の販売に注力してきた折松であったが、今回の刷新では商品の販売はあくまで『営業のきっかけ』と位置づけ、それに付加された折松独自の無形価値を提供していこうという意図のものだ。そのような意味から、検索エンジン対策用のキーワードには、ターゲットユーザを「1日500食以上を取り扱う仕出し屋、産業給食、弁当屋の経営者」と定め、それらの層が最も入力するであろうキーワードを「包装」と「資材」と仮説し、月間問合せ目標数を10件と定めることとした。

 

折松のホームページをご覧ください

中小企業を対象に、ホームページ戦略策定・SEO対策・アクセス解析・ 運用支援と企業ホームページ全般のプロデュースを行っている。
リップル http://www.rip-ple.com/
あいち専門家グループ http://www.asg.name
今回着目したいのは、ネットショップをホームページへとその存在意義を替えた点だ。これまではネットショップとして、いわば小売を目的としたECサイトであったが、自社の強みを活かす戦略へと方針転換したことにより、見えにくい価値をホームページを通じて『見える化』した点である。米飯ベンダーとの長年培ったノウハウがあるからこそ選択することのできるホームページの活用法である。みなさんも自社のホームページに自社の強みや得意技が『見える化』されているかいま一度確認願いたい。次回はその『見える化』をどのようにホームページ上で表現したのかについて触れたい。