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他社ができない難削材・超薄物加工を〜匠よ育て
鈴木邦男 記事更新日.08.02.01
株式会社瑞木製作所 取締役会長
■問合せ先
株式会社瑞木製作所
〒488-0826 尾張旭市大塚町二丁目1番地ノ3
TEL 052-771-8410(代)  FAX 052-776-0174
http://www.mizuki-ss.co.jp/
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■難削材と超薄物の加工を得意とする企業
H2Aロケット、ボーイング777など、ロケットや航空機は極めて厳しい宇宙環境におかれ、かつ、極めて高い信頼性が要求される。これらの部品には、インコネルやなチタンどの「難削材」といわれる硬くて加工が非常に難しい素材が使われ、なおかつ加工精度が高く形状も複雑な場合が多い。このような難削材の加工を得意としているのが株式会社瑞木製作所である。当社では難削材に対し、0.2ミリの「超薄物」加工を施す技術を持っている。NCマシンで加工できるのは2oまで。その先は技術者が汎用旋盤でひずみを極力抑えながら微妙なタッチで仕上げている。

■産業用部品から航空宇宙部品まで
叶趨リ製作所は、昭和28年、現会長鈴木邦男会長の父である、先々代社長の鈴木勇夫氏が三菱重工業を退職・独立し、創業したことがルーツである。当初は静岡で自動車部品の切削加工を行っていたが、昭和36年、現在地の尾張旭市へ移転、法人化と同時に勤務していた縁もあり三菱重工業鰍ニ取引を開始する。

その後、三菱電機梶A村田機械鰍ヨも取引を拡大、当初は油圧機器部品加工であったが、半導体、液晶部品、工作機器部品へ、さらには、航空機エンジン部品、宇宙ロケットエンジン部品、原子力発電用油圧部品、など特殊な部品まで、一貫して精密加工部品を手がけ、幅広く加工品目を拡大してきた。現在ではこうした加工部品については、三次元測定機による測定を行い、ミクロン単位の製品精度を保証している。

 「当社への信頼をいただく源となるものですから、計測器管理というのを非常に重視しています」と鈴木会長。

■匠が育つ社員教育
こうした技術水準を維持・向上させるため、人材育成にはことのほか力を入れている。

「技術の継承・向上のために年間数百万円をかけています。これは、不況になっても技術力で生き残っていけるよう、絶えず技術を向上させ、できないと言われていることにもチャレンジを続けています。『夢のあるものづくりに挑戦する』。これが常に念頭にあるのです」。

仕事として技術を磨くことだけを目的にせず「夢のあるものを作り続ける」ということを掲げ、「仕事の枠を取っ払い、自分たちが習得した技術ではこんなものもできる」と作った作品もある。

社員教育は、17時以降に熟練の社員が中心となって、特別に作られた研修室で開講される他、OJTでは中堅技術者が5Sに始まり、三次元CAD/CAMなどの研修の旗振り役になり、ほとんどの社員が3D/CADで図面を描いて、NCプログラミングが作成できる。
こうした積み重ねにより、「汎用の旋盤を使わせれば日本屈指の腕」という技能者も輩出し、技術オリンピックの出場者を始めとして国家試験の技能検定1級合格者9名、2級合格者7名、愛知県複合技能士3名、愛知県優秀技能者(あいちの名工)1名、さらには中央職業能力開発協会が認定する高度熟練技能者1名を擁するまでになった。

普通の企業なら5軸加工機を使うところを3軸加工機で加工が可能であるし、ミクロン単位の修正も汎用旋盤で出来てしまう。「機械のポテンシャルを十分に発揮させると、これぐらいはできるものです」と鈴木会長。

「夢のあるものづくりに挑戦する」企業にするためには、従業員と企業とのベクトルあわせも欠かせない。年1回の1泊研修時には、社員一人一人が鈴木会長と、それぞれ15分ずつ、従業員と経営者という立場を取り払い「どのように今後自分が成長するか、そのために自主的に何をすべきか、企業へは何を求めるか」という社員の持つ夢、今後の課題などについて本音で語り合う。

このような活動を通じて、企業と従業員が一つになり、技術という形で結実している。

■大手企業との技術交流会
他社では難しい加工をする技術を有するという点で、発注元である大企業からも注目されている。年2回、大手企業との技術交流会を実施し、当社の技術陣と発注元の設計者とが、直接、本音の打ち合わせを行っている。発注先の大手企業からは20名ほど参加、当社からは難加工に立ち向かってきた歴戦の技術陣が顔をそろえる。そこでは、設計者の意図どおりのプロダクツが確実にできるための「加工する側から見た、間違いの少ない図面」のポイントは何か、発注側にとって「かゆいところに手が届くプロダクツ」ができるようになるにはどうするのか、ということが議論される。それだけ「難しい加工部品の依頼」が多く寄せられていることの証拠であるし、どこまでの難しい加工が可能なのかという当社のポテンシャルへの期待に他ならない。おそらく、発注元とこれだけの人数を一堂に集めて議論をたたかわせている企業は決して多くないであろうし、それだけの力量がなければ参加もしてくれまい。

「この交流会は『技術と技術のマッチング』だと考えています。相互に図面の見方・考え方を議論することで、お客様の見えざる要望にも応えていけるのです。お客様からそれだけ評価いただいているということで、ありがたいと同時に、さらに高い要望に応えるため技術を高めていかねばと考えています」と鈴木会長。

こうした努力の積み重ねにより、平成18年度には、『愛知ブランド企業』の認定をうけ、さらには、平成19年度は経済産業省の『戦略的基盤技術高度化支援事業』に採択される他、京セラ(株)等と実施プロジェクト技術交流を行うなど、常にチャレンジを続けている。

「戦略的基盤技術高度化支援事業」は、中小企業が行う高度で日本のものづくり技術の高度化につながる案件だけが採択されるもので、「難削材であるインコネル材の加工について、工具と切削条件の組み合わせで工具の寿命向上と切削時間の短縮というトレードオフを解決する加工技術を開発することで国際競争力を向上させる」という当社ならではのテーマである。

■小さくても無くてはならない企業に
「企業を大きくするということは目標にしていません。現在の無借金経営の維持も含め、『経営』の部分をしっかりと構築したいと考えています」と語る鈴木会長には、苦い思い出がある。

“高齢の作業者二人職場去る、去るも寂し、告げるも寂し”
昭和49年のオイルショック時に鈴木会長が作った句である。

当時はほぼ午前中で終了してしまうだけの仕事しかなく、業績の悪化から数名を解雇せざるを得ない状況となった。そこで、現会長(当時の社長)が下した決断は「腕のいい技術者から6名の解雇」。普通なら働きの悪い人から選ぶはずだが、鈴木会長の決断は「腕のいい技術者であれば、再就職が充分に可能です。選んだのはそういう高いレベルの技術者でした。会社としては非常に痛手でしたが、再就職が難しいレベルの人を解雇することは、その人たちの将来を考えるとどうしてもできませんでした」。

「二度とこのようなことが絶対にないように、技術を高めて、規模は小さくても、無くてはならない企業・社員と苦楽を共に味わいお互い共益を求め幸の家庭を築いていく」と語る鈴木会長である。

取材・文 有限会社アドバイザリーボード 武田宜久       

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