通称「名古屋めし」。2005年万博を機に全国へ広がった中京圏の独特の食文化である。手羽先、ひつまぶし、天むす等が全国区となった。そして名古屋めしの特徴の一つとされる「味噌文化」。味噌煮込みうどん、味噌カツ、味噌おでん、どて煮なども全国へ紹介された。
「味噌文化」の一翼を担う「八丁味噌」の味を19代に渡って守り通しているのが、合資会社八丁味噌である。
合資会社八丁味噌の代表は19代当主の早川久右衛門氏。1645年(正保2年)の創業以来、八丁味噌の伝統的な味・製法を350余年にわたり伝え続けている。
八丁味噌は、徳川家康生誕の地である岡崎城から西へ八丁(約900m弱)離れた八丁村で、味噌の仕込みを始めたのがその名の起こりとされる。
材料には粒のそろった丸大豆と食塩、水のみを使う。蒸した大豆を味噌玉にし、種麹を付着させ室(むろ)で発酵。これを水と塩を攪拌器で混ぜ合わせると、味噌のもととなる「もろみ」ができあがる。これを杉の木桶に仕込み、フタをし、その上へ3トンもの石積みをする。石積みは近隣の矢作川で拾い集められた石を使う。「石積み10年」とも言われる職人技で、未だかつて地震で崩れたことは一度もないとのこと。石積み後は約2年の間、温度調整をしない天然醸造でじっくり熟成する。石積みを重くすることで桶の下方に偏りがちな水分を均等にすることができる。また、固仕込みをすることで、熟成期間が長くなり、その分安定した長期保存が可能な味噌となる。長期保存性から、三河武士の兵糧としても愛用された他、大戦中には軍需食として重宝がられ、当時は蔵が空になってしまったとのことである。
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