信頼関係の構築、技術力の向上の原点は、何と言っても人財育成だと田中社長は語る。
「当社でも世代交代による技術継承が課題になっています。上の世代から下の世代へつなぐ階層別教育の必要性を非常に感じています。リーマン・ショック以前は、学校へお願いしても新卒が全くといっていいほど採用できず、技術継承を云々する以前の問題でした。しかし、不況により、採用の様相は一変しました。幸い当社は他の自動車部品メーカーよりも落ち込みが少なかったため、今年は5名を採用することができました。採用さえできれば、じっくり大切に人財教育が進められます。幸いなことに、ここ7〜8年は辞める人もほとんどなく、順調に育ってくれています。日々社員の顔色を見ながらこまめに声かけをしてコミュニケーションを取るというあたりまえのことですが、これが社員定着には一番効果があるようです」。
人財育成・社員定着・技術継承に力を入れるのは当社のコア技術と密接な関連がある。
当社の製品は、ロール成形の後、曲げ・プレス・ミーリング加工を経て溶接、さらにその溶接箇所を研磨等で仕上げることで作られる。
当社のコア技術の一つは、ロール成形工程の「治具を取り替えるだけ」という汎用性により設備交換にかかる手間とコストを減らし、2年かかる立ち上げ期間を8ヶ月にするノウハウである。
その上、設備を入れるだけでは実現できない熟練のコア技術を持つのが溶接工程と仕上げ工程である。
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