この年、キリンラーメンは東京進出を果たし、それをきっかけに今では北海道から沖縄まで全国制覇を実現する。東京へ広めたのは、たまたま名古屋の百貨店を訪れた東京のバイヤー。目を引いたのはキリンのパッケージデザインで、レトロなデザインが新しく映った。
「パッケージは50年前と同じものです。変えていない、というよりは生産中止をするぐらいで売上も伸び悩んでいたため、新しいものに変える余裕がなかったということもあります。しかし、何よりキリンのデザインで地元の方に親しまれていたことを先々代、先代の社長は大切にしていたのだと思います。その昔ながらのデザインや味が1周回って歴史とともに新しく感じていただけるのだと思います。今となっては当社の大切な財産です」と目を細める小笠原専務。
大手の即席麺は、話題性を求めるためインパクトのある味になるケースが多いが、キリンラーメンは「どこかなつかしい、やさしい味」のままで、この点でも「変えなかったこと」が他社との差別化につながっている。
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