「当社は少量生産が得意ですので、その強みを活かし、近い将来にチタン材の加工により航空宇宙分野の仕事をしたいと考えています。その加工技術を磨き上げるため、ファイバーレーザー加工機も導入しました。しかし、チタンは高価な金属のため、加工技術を高めるためといえども大きな試作物を次々に作ることはできません。そこで目をつけたのがボタンです。小さなプロダクトですからコストもあまりかかりません。しかしそこにはプレス、絞り、切削、穴あけなど多様な技術がぎっしり詰まっています。さらに、デザイン性を上げるという切り口は従来の当社にはなかった発想で、また新たな技術が必要になってきます。社員には『たかがボタン、されどボタン』と言っており、自社技術を高め、その結果として『ボタン』という形で技術の見える化を実現させ、他社へのアピールをしていこうと考えています。
例えば、ボタン穴一つをとっても高い技術が必要なのです。
レーザー加工による穴あけは一般的にはバリが発生します。そのままボタン穴とした場合にはバリによる糸切れが発生するため、バリレスでの加工が求められてきます。とにかくバリさえ除去すればいいというのであれば、さらに複数工程をかけることで加工は可能となるのですが、コスト面や『技術の見える化』のためのボタンと考えるとそれは面白くない。そこで、当社は1工程・短時間での加工技術の開発をするため、機械加工技術とレーザー加工技術との融合により独自のノウハウを向上させることで実現させているのです」。
これだけ多様な技術と多品種少量生産であれば、お取引先を増やすことも難しくないのでは、と尋ねると「自社からの営業はしません。こちらからのアプローチとなると価格面での競争になりがちですが、困ったのでお宅の技術でなんとかしてくれという仕事は付加価値の確保が容易です。納期、品質、技術こそが当社の最高の営業マンです」と語る志村社長。
半歩先を行く現場力、コスト競争力、技術力で未来を拓く。
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