商談会はビジネスチャンス
野田真太郎 記事更新日.06.06.06
(有)野田工業製作所 代表取締役     
■問合せ先
有限会社 野田工業製作所
〒481-0039 西春日井郡西春町法成寺道1
TEL:0568-21-4620 FAX:0568-23-5260
http://www.nodakougyo.com/
■クラフトマンシップを先進の設備に活かす企業
今年3月、西春日井郡の西春町と師勝町が合併して生まれた北名古屋市。この街にクラフトマンシップと充実した先進設備を武器に成長を続ける有限会社野田工業製作所があります。

同社は昭和21年の創業以来、板金製缶加工を中心に機械加工、組立加工を行い、工作機カバー、機関車の車体、ボックス、搬送装置、各種装置等、固有技術を駆使し設計から部品製作、塗装、組み付け、電気制御まで内製化し、一貫作業に対応できる企業として取引先から高く評価されています。

 

左上 産業機器部品 
                右下 機関車の車体

技術力の向上のため積極的にスタッフの技能士資格取得を進め、一般機械設計、板金設計では独自開発の板金加工CAD・CAMシステムを基に板金加工のスペシャリスト集団だからできる加工ノウハウ、コスト削減を盛り込んだ設計や、電気回路設計、制御盤、操作盤の内製化も可能と新しいテーマに常にチャレンジを続ける魅力ある企業です。

 

電気回路設計、制御盤、操作盤の内製化も可能となった

■あいち産業振興機構との出会い
社長である真太郎氏と財団法人あいち産業振興機構(当時は愛知県下請振興協会)との出会いは24年前に遡ります。サラリーマン生活を終え同社に入社後しばらくして、社長であった父親から事務所があった名古屋駅前の中小企業センターに「名刺を持ってあいさつに行って来い」の一言から始まりました。

「何をする団体かさえ知らない状況で、とにかく名刺を持ってあいさつに行きました」と訪れた事務所。中小企業を支援してくれる機関があるといった程度の知識でした。

当時27歳であった真太郎氏は職員から紹介された事業に積極的に参加します。発足したばかりの技術経営研究会に最年少メンバーとして参加、また機構(当時は愛知県中小企業振興公社)が進める融合化事業にも参加、平成元年、一緒に研修会に参加した有志と共同受注グループ「Gサクセス」の結成に参画(現在代表幹事として活躍中)、また新産業指導セミナーの「新産会」にも参加し、同世代の仲間とともに学び見聞を広めネットワークを作ることに努めました。「若い者が集まったグループで一泊研修があると夜に抜け出して名古屋に遊びにいって朝帰りをしたりと滅茶苦茶なこともしました」とは社長の思い出話です。

■「商談と情報収集」が参加のメリット
同社が機構の取引あっせんを利用した歴史は長い。真太郎氏が入社する前からの主力取引先であった大手機械メーカーも機構のあっせんからで、現在の取引先の約半分も、機構のあっせんから始まりました。

「機械設備にはライフサイクルがあります。一つの機種に今仕事が十分あるといって安心していると2、3年後に仕事がゼロになることがあります。だから常に新規の部品を受注し、新機種、新規顧客と取引をしていかなければなりません。また機種だけでなくお客様の状況の変化もあります。一社、一機種の仕事にしがみついていると手痛い打撃を受けることがあります。常に新規顧客と新規部品を取る、特に新規の顧客を取ることは社長である自分の仕事と考え、取り組まなければ生き残れません」。

同社は、機構が開催する商談会にも積極的に参加し成果をあげています。
「商談会は新規の取引先確保のチャンスとして欠かせません。仕事を紹介してもらえる機関なんて普通はありません。面倒を見てくれ、しかも、無料で親切に対応してくれます。知り合いや業者間ですと、ときにはトラブルが生じるという心配がありますが、機構の場合はこのような心配はありません」。
「飛び込み営業では担当者はなかなか会ってくれません。しかし、商談会を通して面談をすることで次の面談も可能になります」。
商談会で成果をあげるポイントは「こちらの方から足を運び、話をしなければいけません、連絡を待っていてはだめです」とのことでした。

「情報収集手段としても利用しています。商談会のたびに発行される参加企業名簿は情報が詰まっています」。 新規取引先の情報は当然として、既存取引先の発注情報から受注企業へのニーズの変化を捉えたり、当社が受注のチャンスがありながら逸していたことを知ることもあります。また競合メーカーの動向、設備内容を知ることで自社の強みをどう活かすか、どう対応するかの検討資料となります。特に発注内容、条件から発注ニーズ、方針の変化を知ることで早めに対応が可能となります。

同社は2004年8月ISO9000の認証取得を行いました。これも商談会での情報収集がきっかけでした。 発注企業がかかげる新規取引先の条件として、「ISO9000の認証取得をしていること」とする企業がありました。この条件をあげる企業が2社、3社と増える状況に変化の兆しを感じ取り、「時代が変わった。これからはISO9000を取得していないと仕事が取れなくなる」と考え、スタッフ一丸となって認証取得を実現しました。

「商談会の資料、面談で得る情報など、参加すれば響くものがあります。得た情報、感じた変化に反応するか否かで違ってきます。アンテナをめぐらし、お客様の状態を一生懸命みていると変化に気がつくものだと思います」。

 

機構開催の商談会風景

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「仕事を任せる」とは会社の能力、経営者の姿勢が信頼されてこそ始まるものです。「取引先がいうことに対応すれば仕事につながります」と考える社長は、設備の充実に努めるだけでなく、人材面でも大手企業OBを積極的に採用。持っている技術、能力を活用し、取引先の多様なニーズに対応できる企業体質の確立に力を注いでいます。

「国内の製造業は空洞化が進みます。優位に立っている技能も技術移転の進展で追いついてくるでしょう。だからグローバル化に対応する勉強を続け、情報収集を行わなければなりません」。

現在は発注企業の一貫生産、完成品納入の要望に対応できる生産体制実現のため塗装工程の内製化を進めています。これが実現したとき同社のコスト、品質、納期管理能力が一層強化され、さらなる成長に向けての一歩がスタートします。同社の今後の活躍が楽しみです。                            

(取材・文 小藤経営労務事務所 小藤省吾)