創業サクセスマニュアル~専門家による創業取扱い説明書~

公益財団法人あいち産業振興機構


会計と事業計画【決算書の見方】ビジネスに必要な決算書の基礎知識、見方

「起業するなら、決算書を読めるようにならないと。」と良く聞かれる言葉です。それでは、この決算書とは一体何なんでしょうか。
 決算書とは、「損益計算書」と「貸借対照表」です。「損益計算書」は期首から期末まで間の経営成績を表します。「貸借対照表」は、期末時点の資産状況を表すものです。

決算書の見方

事業自体は続いていきますが、決算書を出すには区切りが必要になります。この区切りの最初が「期首」で終わりが「期末」です。「期首」「期末」の間は基本的に1年間です。個人事業主の場合、「期首」は1月1日で、「期末」は12月31日です。法人の場合は、法人登記の際に決算期を自分で決めます。

それでは、それぞれの意味についてみてみましょう。

決算書の見方

貸借対照表は、左右にわかれています。そして、右側と左側の合計金額は必ず同じになります。貸借対照表の左側は「資産」です。そして、左側の「資産」は資金の運用方法を表しており、現金、預金、車、備品等の事業に対して必要な資産をどのような形で持っているかになります。右側は「負債」と「資本」です。右側の「負債」と「資本」は資金の調達方法を表しています。どうやって事業に対して必要な資産をどういう方法で調達したかです。「資本」は自分で調達したお金です。それに対して「負債」は社外から調達した資金ということになります。
「資産」と「負債」は流動資産、固定資産、流動負債、固定負債にわけることができます。この「流動」と「固定」の違いはすぐに現金化できるあるいは支払わなければいけないかの違いです。
貸借対照表で重要なのは「流動資産」「固定資産」「流動負債」「固定負債」「資本」のバランスです。例えば、「流動資産」と「流動負債」を比較したときに流動資産のほうが流動負債より多ければ(※1)すぐに支払わなければいけないお金をすぐに現金化できるお金でまかなえているということになります。しかし、「流動資産」より「流動負債」のほうが多い場合、すぐに支払わなければいけないお金よりすぐに現金化できるお金のほうが少ないため、資金ショートしやすい状況にあるということになります。

※1  流動資産 > 流動負債
※2  流動資産 < 流動負債

決算書の見方

損益計算書は、一定期間にどれだけ売れて、それを売るためにどれだけ経費がかかったかを明確にするものです。損益計算書は「5つの利益が」があります。売上総利益、営業利益、経常利益、税引前当期純利益、当期純利益の5つです。
売上総利益は売上から売上原価を引いたものです。(※3)売上原価は仕入原価あるいは製造するために係った費用です。よって売上総利益は仕入原価または商品を作った原価に対してどのくらい上乗せして販売しているかを表しています。言い換えれば、自身の事業がどのくらい付加価値をのせて販売できているのかを表しているといっても過言ではありません。
販売費及び一般管理費は販売するために係った費用です。よって売上総利益から販売費及び一般管理費をひいた営業利益(※4)は、純粋に事業によってどのくらい利益が出ているかを表したものです。この営業利益で収益が出ていなければ事業の見直しを図る必要があると考えることができます。
利益でもう一つ重要なものは経常利益です。経常利益は営業利益に営業外収益を足して営業外費用を引いたものです。(※5)中小企業にとって営業外費用で多くを占めるものが借入金の利息等になります。この経常利益で収益が出ていない場合、事業を運営する上で借入金の額が大きすぎる場合があります。貸借対照表でもあったように事業自体が収益が出ているかどうかだけではなく、事業を運営するための資金をどのように調達しているかも表しているのです。
その他2つの利益の計算式は下に表記します。

※3 売上総利益 = 売上 - 売上原価
※4 営業利益 = 売上総利益 - 販売費及び一般管理費
※5 経常利益 = 営業利益 + 営業外収益 - 営業外費用
※6 税引前当期純利益 = 経常利益 + 特別利益 - 特別費用
※7 当期純利益 = 税引前当期純利益 - 法人税等

決算書を見る時に重要なのは、貸借対照表も損益計算書もバランスが重要です。事業を運営するための資金バランスが適正か、それぞれの収益、費用状況のバランスが適正か、これが決算を見る。ということになります。


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