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2006.2月号 No.46 通巻247 2月01日発行
パリ産業情報センター 
駐在員 芦沢典幸 
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【海外駐在員便り】
欧州・フランスの自動車産業分野における環境への配慮
欧州は、フォルクスワーゲン、アウディ、オペル、ダイムラー-クライスラー、BMW(ドイツ)、プジョー-シトロエン、ルノー(フランス)、フィアット(イタリア)、ボルボ(スウェーデン)など世界的な自動車メーカーの本社が存在し、トヨタ、日産、ホンダなど日本メーカーも主要な生産拠点を設けている 世界の一大自動車生産地域です。欧州地域でも、地球温暖化防止のためのCO2排出量削減目標や昨今の原油価格の高騰を受けて、環境に配慮した代替エネルギーやクリーン車の開発・実用化の要請が高まっており、昨年9月に開催されたフランクフルト・モーターショー(ドイツ)や、11月に行われたトゥールーズ・モーターショー(フランス)では、いかに環境に配慮しているかが出展者の重要なアピールポイントとなりました。
そこで今回は、「自動車と環境」を切り口に、欧州・フランスにおける最近の動きを紹介します。
EUの取り組み
 -自動車産業競争力強化策-
EU委員会、EU加盟国の高官や欧州大手自動車メーカーのトップ等からなるハイレベル会合「CARS21」は昨年12月12日、欧州自動車産業の世界的な競争力を高めるための10か年計画を採択しました。この計画には、ブレーキ、タイヤ、バスなどに関する38件のEU指令見直しなど規制の簡素化、電子安定制御、シートベルト装着注意喚起システムなど安全技術の向上、EU域外諸国市場へのアクセスの改善といった事項とともに、環境対策が重要な柱として盛り込まれています。具体的には、EUのCO2排出量削減目標(120g/km)に向けた技術開発、代替燃料開発、エコ・ドライブ(環境に配慮した運転)の推進、税制措置、品質表示、混雑緩和措置などの取り組みが必要であるとの見解を明示しています。また、特に第二世代バイオ燃料に注目すべきであるとも述べています。
フランス政府の取り組み
 -環境規制・支援措置・ラベル表示-
(1) 自動車登録税の加算税制度
フランスでは2006年から、スポーツ多目的車(SUV)、大型セダン、大型ファミリーカーなど排気量の大きな自動車を対象に自動車登録税の加算税制度が導入されています。この制度は、本年1月1日以降に自動車登録証が交付される、キロ走行当たりのCO2排出量が200gを超える大型車(新車 および2004年6月1日以降に新車として購入され転売された中古車)に適用され、加算税額は1g超過するごとに2ユーロから4ユーロとなっています。政府の試算では、毎年購入される新車の8%程度、約18万台が加算税の対象となり、年間1500万ユーロ程度がADEME(環境・省エネ庁)の特定財源になる見込みです。
(2) バイオ燃料普及の支援措置
輸送用燃料に占めるバイオ燃料の比率を段階的に引き上げる目標(2008年に5.75%、2015年以降は10%)を掲げているフランス政府は昨年11月21日、農業、石油、自動車など関係業界の代表者を集めて会合を開きましたが、この会合で、バイオ燃料の普及を目指す15の措置が採択されました。そのうちの主要な措置は次のとおりです。
(ア) ガソリンとエタノールを同じタンクに混入する「フレックス燃料車」の開発支援
(イ) 合成バイオディーゼルなど新たなバイオ燃料の開発支援
(ウ) バイオ燃料を対象とする税制優遇(継続)
(エ) 製品に対する品質検査の強化
これらのうち最も注目されるのが(ア)の措置で、「フレックス燃料車」の実験的導入を追跡調査する作業班が2006年に設置される予定です。政府はまた、各自動車メーカーに対し、フランス市場への同車の積極的な投入を要請しました。
(3) CO2排出量の新ラベル表示
フランスではこれまで、表に価格と性能、裏に燃料消費とCO2排出量を表示した白黒ラベルを新車に貼付していました。しかしこのたび、昨年11月に公布された政令で、CO2排出量を表示する部分をカラーとし、既に家電製品の分類に用いられているのと同様に、CO2排出量の少ない順にA(緑)からG(赤)までの7区分(色)に分類することとされました。この切替措置は本年5月13日から適用され、それ以降ディーラーには、新ラベルを貼付する義務が生じます。
欧州自動車メーカー・研究機関の取り組み 
 -クリーンエネルギー車の開発に向けて-
(1) ハイブリッド自動車
「トヨタはハイブリッド車でライバルを圧倒的に引き離している。・・・トヨタを前にし、競争は始まりつつある」と昨年9月のフランクフルト・モーターショー開催時のル・モンド紙が評したように、この分野では各社の活発な動きが見られます。9月には、BMW、ダイムラー-クライスラー、GMがハイブリッド・エンジンの共同開発・生産を行うことで最終合意を締結し、 さらにアウディの会長が、フォルクスワーゲンおよびポルシェと提携してハイブリッド・エンジンの研究を行うと発表しました。同時期にプジョー-シトロエンの会長は、他社のようにガソリンではなく、ディーゼルエンジンを搭載したハイブリッド商用車を2006年初頭に発表すると述べています。
(2) 電気自動車
フランスのダッソーグループとユリエーズの共同子会社である電気自動車会社(SVE)は昨年9月、新世代電気自動車のプロトタイプ「クリノヴァU」を仏郵便局(la Poste)に納入すると発表しました。今後、仏郵便局によりパリとボルドーで試験走行がなされる見込みです。関係者によれば、使用コストは内燃機関を動力とする車に比べ、平均6分の1であるとされています。
(3)天然ガス自動車
シトロエンと仏ガス会社(GDF)は昨年9月、天然ガス自動車の研究が進んでいるフランス南部の都市トゥールーズで、天然ガスとガソリンを燃料とする乗用車を、自宅でガスの充填ができる低価格のコンプレッサーとともに発売すると発表しました。両社の会長は、燃料消費を節減しながらCO2排出量を20%低減できる点が天然ガス自動車の利点であると強調しています。
(4)バイオ燃料自動車
フォード・フランスの社長は昨年11月、バイオエタノールとガソリンの混合燃料で走行する2種類の乗用車をフランスで発売すると発表しました。バイオエタノール車はガソリン車に比べてCO2排出量が70%少ない一方、燃料消費が25〜30%多いため、リットル当たりのバイオエタノール価格が安くなることが肝要であると同社長は述べています。
(5)燃料電池自動車
燃料電池の分野では、ドイツのメルセデスが昨年9月のフランクフルト・モーターショーでこれを搭載した「Bクラス」のプロトタイプを展示しました。
フランスでは、本年1月9日、プジョー-シトロエンと原子力委員会(CEA)が共同で開発した自動車用燃料電池「ジェネパック」(GENEPAC)が発表されました。両者は、コンパクトで効率的かつ車の仕様に適した燃料電池の開発を目的に2002年から共同研究に取り組み、最大出力80キロワットで50%を超える効率の燃料電池を作り上げることに成功しました。プジョー-シトロエンはこれまで、社内の研究成果や他の機関との共同研究の成果を踏まえて燃料電池搭載の試作車を製造してきていますが、2020年までに量産の可能性があると見ており、今後も段階的に燃料電池を自動車に搭載していく予定です。同社は引き続き積極的に燃料電池研究に取り組む意向で、「ジェネパック」の発表と同じ日に、燃料電池や関連技術、車の電池システムに関する研究施設をパリ郊外のキャリエール・ス・ポワシーに開設しています。

2006年1月9日に発表された最大出力80キロワットの自動車用燃料電池、「ジェネパック」(GENEPAC)」

燃料電池を搭載したプジョー-シトロエンの試作車「クアーク」(Quark)

また、国の研究プロジェクトとしては、自動車向け燃料電池の実用化に向けて、電池のコンパクト性や水素ガスと空気の供給、ガスの加湿と圧縮、冷却システムなどを研究する「フィジパック」(FYSIPAC)や、燃料電池の始動と寒冷地での使用などを研究する「メフィスト」(MEPHISTO)が進められています。研究組織としては、陸上輸送とエネルギーの研究を行うベルフォール・モンベリアール大学内に昨年12月、輸送機関への燃料電池の導入と電池の耐久性を主な研究内容とするベルフォール研究所が創設されました。ここでの研究には、国立の研究機関や大学のほか、プジョー-シトロエンやルノーといった自動車メーカーも参画しています。

フランス東部のベルフォール・モンべリアール大学内にあるベルフォール研究所

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