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2006.03月号 No.47 通巻248 03月01日発行
レイ・マネジメント・クルー 
代表者 豊田礼人
 
「ブランド思考」とは、自分自身・自分の会社をかけがえのない唯一無二の「ブランド」としてとらえ、大切にしていこうという考え方です。
小さな会社にとって、この考え方は売上増加のためにとても「効く」のです。
この考え方を身につけて、ブランド戦略を遂行すれば、必ず大手企業に負けない強い会社に生まれ変わるはずです。
 
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【特集1】小さな会社のブランド戦略
小さな会社に「効く」
ブランド戦略というと、大企業がやるものであって、中小企業には関係ないと考えている経営者も多いと思います。しかし、資金をはじめ経営資源に限界がある小さな会社こそ、ブランドを意識した経営が重要です。
このブランドを意識して行動する考え方を、私はブランド思考と呼んでいます。「ブランド物しか身につけない」という「ブランド指向」とは異なります。「ブランド思考」とは、自分自身・自分の会社をかけがえのない唯一無二の「ブランド」としてとらえ、大切にしていこうという考え方です。小さな会社にとって、この考え方は売上増加のためにとても「効く」のです。この考え方を身につけて、ブランド戦略を遂行すれば、必ず大手企業に負けない強い会社に生まれ変わるはずです。
ブランドの3機能
まず、はじめに、「ブランドとは何か」について明確にしておきましょう。ブランド(Brand)の語源はイギリスにあるといわれています。放牧している牛や羊に、所有者をしめすために「焼印(Burned)」を押していました。この他人の所有物と自分の所有物を区別するための記号がブランドの始まりです。「標識性」という機能が生まれた瞬間です。
次に、例えばトムおじさんが育てた牛はとてもおいしい、という評判があったとします。その評判をおとさないように一生懸命に牛を育て、品質管理に励みます。そうすると「トムおじさんの牛はおいしい。間違いない」という安心感が顧客の心に育ちます。これがブランドの「保証性」です。「トヨタの車は壊れない」とか「ソニーは独創的だ」というような例がそうですね。
この標識性、保証性という2つの機能に加え、現在では「意味性」という機能がブランドにとって重要です。ブランドの意味性とは、その商品・サービスが顧客自身にとってどんな意味があるのか、ということです。「なぜ私はこのブランドを買うのか」という顧客の問いに、企業は明確に答えなければなりません。さもなければ顧客は買わない。現代の消費社会はそういう社会なのです。

ソフトなブランド戦略
「なぜ私はこのブランドを買うのか」
この問いに対し、「このブランドは値段以上の価値があるから」と答えられるか。答えられないとお客様は買ってくれません。商品自体(ハード)と商品以外のビジネスの営みすべて(ソフト)について納得できるレベルにして初めて、お客様は認めてくれます。しかし現実問題として、値段以上の価値がはっきりと認識できるような、差別化された商品(ハード)は簡単には作れません。商品開発には少なくない資金・人・設備などが必要ですし、開発に成功してもニーズは常に変化するものです。つまり絶え間ない投資が求められるのです。中小企業はオンリーワン商品を・・・などと掛け声は良いですが、オンリーワン商品は開発が難しいからこそオンリーワンになれるのです。そう簡単にできるものではありません。
商品そのものについての戦略をハード(形のある)なブランド戦略とすると、ソフトなブランド戦略とは、商品を売るための活動すべてをカバーする戦略です
例えば、注文を受ける電話の応対方法、営業マンの接客方法、製造過程、配送時の対応、クレームへの迅速な対応などの活動(バリューチェーン)すべてです。つまり、その商品を売るためのビジネスそのものをブランドとして捉えるのです。このソフトなブランド戦略を行うにも資金や人は必要ですが、ちょっとした工夫や気遣いで思わぬ成果が出るという点で、ハードなブランド戦略よりも取り組みやすいという面があります。また、多くの企業が見落としている点でもあります。ソフトなブランド戦略を磨くことで、お客様に「買う理由」を与えることができるのです。

ブランドを動かす人
ソフトなブランド戦略とは、ビジネスそのものだと先ほど述べました。であるとすれば、そのビジネスを実行するための「人」にスポットを当てる必要があります。ビジネスそのものを、お客さんの心の中に「ブランド」として生かしてしてもらうためには、人の介在なくしてはありえません。経営者と従業員が一枚岩になってビジネスに取り組まなくては成しえることは不可能です。経営者の理念をしっかりと従業員に伝え、その理念に基づいて100%の力を従業員が出す。こういった取り組みは、小さな会社であればあるほど、社内に浸透させやすくなります。大企業では、全従業員のすみずみまで経営者の理念を行き届かせるのは難しい。また結果を管理するのにも限界があります。さらに、組織が大きければ大きいほど、その組織は官僚的になり、お客様不在の議論や闘争が起こったりします。つまり大企業ではソフトなブランド戦略を完遂するには、図体が大き過ぎるのです。ここに、私が小さな会社こそブランド戦略が有効であり、売上増加に「効く」という理由があります。

広告宣伝でブランドは作れない
大企業はブランドを世間に浸透させるために、TV・ラジオ・新聞・雑誌などのマス媒体を使って大々的な広告宣伝活動を行います。最近ではインターネット広告への出稿も増えています。また有名タレントやスポーツ選手をイメージキャラクターとして起用し、話題性のあるCMを展開し、ブランドイメージの向上を図ります。資金力のない小さな会社では、とてもこのような広告宣伝を行うことはできません。しかし資金力にものを言わせ広告宣伝を行ったとしても、実際のマーケティングの現場で、あるいは、従業員が顧客に接している現場において、その企業ブランドイメージとかけ離れた行動をしたり、提供しているサービスが、企業ブランドで約束していることを少しも実現していなかったらどうでしょうか?当然、顧客は逃げていくでしょう。なぜなら顧客は裏切られることを最も嫌うのです。大企業は広告予算も多いですが、従業員の数も多いので、ブランドイメージに沿った行動を全従業員に強いるためには相当のエネルギーが必要です。その点少数精鋭の小さな会社では、全従業員がブランドの体現者となることが比較的楽にできます。
それともう一つ、企業側の「売りたい気持ち」がどうしても見えてしまう広告では本当の顧客、固定客、ファンを獲得することはできません。あまり頻繁にCMを流されるとうんざりして、かえって嫌悪感を感じた経験はありませんか?一方的な広告よりも、現代では企業と顧客の双方向の対話が必要です。生の顧客と接する場面を大事にし、一人一人の顧客と深く長期的に付き合い、固定客からファン、そして信者へと育てていくことで、ブランドは強くなります。この作業は、機動力のある小さな会社こそ得意とするところでしょう。
きめ細かい対応が、高価なCMよりもブランド育成には重要なのです。
私の場合
私ごとで恐縮ですが、私が中小企業診断士としてお客様から仕事をいただく際にも、これらの考え方をフル活用しています。私のような無名で、かつ、広告宣伝するための資金もない一個人(小さな小さな会社です)が企業様から声をかけていただくためには、私「豊田礼人」のことをこと細かに伝えて、私という人間を理解してもらう必要があります。信用してもらい、身近に感じてもらう必要があります。選択に迷うとき、「身近である」「知っている」という理由だけで決定することはよくあります。そのために、自分でホームページをつくり、週1回自分の考えを綴ったメールマガジンを発行しています。また、月1回地元の企業・商店向けの情報誌を発行しています。これらの活動に費やしたお金は微々たるものです。にもかかわらず、メールマガジンを読んだ企業様から相談を受けたり、ホームページから問合せをいただいて、コンサルティング契約を獲得したりしています。さらにこの「ネットあいち産業情報」への執筆依頼も、ホームページ・メールマガジンを通じていただいたのです。もし私が大手のコンサルティング会社にいたら、こんなチャンスをいただくことはなかったでしょう。私という小さな存在が、自分自身のことや考え方について語ることができる(許される)環境があったからこそ、この成果を生んだのだと思います。私というブランドが少しだけ理解していただけた成果(?)と勝手に解釈しています。
最後に
ワクワク系マーケティングの小坂裕司さんは著書の中で、『ビジネスとは「人の営み」、ビジネスの数字は人の営みの「結果」である』といいました。ビジネスを人の営みと考えると、例えば「商品が100個売れた」と考えるのではなく、「この商品を買ってくれた人が100人いた」と考えるべきだということです。
この考え方こそ、小さな会社が持つべきものです。商品を買ってくれた一人一人のお客様を大切にする。自分の会社と自分のことを知ってもらい、お客様のことを知る。そして長期間にわたって商品を買っていただける関係を築く。そのためには会社・商品の名前(標識性)、品質の確かさ(保証性)、買う理由(意味性)というブランドの機能すべてに細かい配慮をする。
それらがすべて噛み合ったとき、広告も宣伝もしなくても、お客様の方から寄ってきていただけます。そしてあなたに「売ってください。よろしくお願いします」と言い、価格の交渉もすることなく買っていただき、最後には「ありがとう」と言っていただけるのです。こんな素晴らしいビジネスをやりたくありませんか?小さな会社こそ、それを実現できるのです。
(参考文献)
・ ブランド価値評価手法がよくわかる本(廣川州伸 著)
・ ガバガバ儲けるブランド経営 (小出正三 著)
PROFILE
豊田礼人(とよた  あやと)

中小企業診断士
1967年9月22日生まれ(おとめ座)

1990年 南山大学法学部 卒業     
その後、東証1部印刷会社、人材サービス会社を経て2005年4月中小企業診断士登録
2005年 マーケティング支援のレイ・マネジメント・クルーを創業

〈専 門〉 売上増加を実現するためのマーケティング支援 小さな会社のブランド戦略
〈家 庭〉 妻1人 子1人
〈性 格〉 温厚な性格といわれます。衝突は好みませんが、弱い者いじめを目撃すると我慢できません。比較的地味ですが、継続性はあると良く言われます。

連絡先
レイ・マネジメント・クルー(経営コンサルタント事務所)
〒466-0051 名古屋市昭和区御器所2−9−27−305
TEL/FAX 052-882-1410
ホームページ「売上増加はマーケティング戦略+ツール+αで実現する」

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