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愛知県よろず支援拠点の支援事例

令和7年度

その他、当拠点におけるこれまでの支援事例についてはこちらよりご覧いただけます。(よろず支援拠点全国本部HPにジャンプします。)

支援事例①:原価計算を見直し適正な労務費を算出して、亜鉛ダイカスト鋳造品の価格転嫁に成功

相談者様概要

事業者名:株式会社エヌケーパーツ工業
業種  :製造業
代表者 :代表取締役社長 佐野 政敏(さの まさとし)
〒463-0089 愛知県名古屋市守山区西川原町38番地
URL:http://www.nk-parts.co.jp/
TEL:052-794-8775

概要

昭和47年創業の亜鉛ダイカスト鋳造所。名古屋市守山区に組付け、検査を行う本社工場、岐阜県土岐市に亜鉛ダイカスト鋳造およびプレス加工を行う土岐工場を有する。セキュリティ分野の“鍵”から始まり、アミューズメント用シリンダー、病院の貴重品BOX用カード錠、工場や家庭のキー保管BOX、産業機器の防水ハンドル、ディスプレイ用のジョイントパーツ、遊技機用ヒンジなど、多岐に渡る製品を製造している。

亜鉛ダイカスト鋳造製品

 

 

相談のきっかけ

労務費の高騰をどのように価格転嫁するかが悩み

相談者は令和6年春頃に地元の商工会を訪れ、商工会担当者に、「従来は材料費の上昇時に顧客へ価格転嫁を認めてもらっていたが、近年は労務費の上昇が著しく、どのように価格転嫁すれば良いか苦慮している。」と相談をした。その際に、「具体的な価格転嫁の進め方や原価計算の方法について、よろず支援拠点の専門家に相談してみてはいかがか。」と紹介されたことが、当拠点を訪れるきっかけであった。

 

相談者の状況や課題

複数顧客に関係するコストはどう個別に計算すれば良いか?

数年前から続く製造原価の上昇に対し、相談者は価格転嫁の必要性をずっと感じていた。主たる製造原価である材料費については、ダイカスト用亜鉛地金の調達価格上昇分を、主要顧客向け製品価格に転嫁出来ていた。一方で、近年では労務費やその他製造経費(輸送費、エネルギー費等)が著しく上昇しており、同社の収益性を大きく押し下げていた。これら労務費とその他製造経費を価格転嫁する必要があると同社社長は課題認識していたが、なかなか交渉が進められなかった。なぜならば、改訂単価の根拠について、合理的な考えが整理出来ていなかったためである。亜鉛ダイカスト地金など製品と直接結びつくコストである直接材料費は算出が容易であったが、他の顧客向け製品を含む工程作業者の間接労務費等は、対象顧客向け製品コストの適切な算出根拠を示すことが困難だっためである。

 

支援内容

合理的で簡易に算出できる加工費の改訂根拠を整理

COは最初の支援時に、価格転嫁は単価改訂(値上げ)の合理的な根拠を示すこと、そのために原価計算の結果を簡潔に示すこと、が重要である旨を説明した。その後、相談者とCOにて材料費、労務費、その他製造経費と製造原価主要3項目の原価計算を実施。製品によっては受注後十数年間見直していなかった製造原価を、一点ずつ確認した。また、相談者が作成した価格改定資料エクセルを、壁打ち形式にて支援の度にブラッシュアップしていった。エクセルは「材料費」「労務費」など原価項目ごとにシートを分け、労務費部分であれば公的な指標(春闘の中小企業賃上げ平均)と製品1個当たりの工程ごと稼働時間等を掛け合わせ、算出根拠を示した。支援後半では顧客から指摘を受けそうなことをCOが「突っ込み」、その適切な回答を考えるという「想定問答」にも取り組んだ。

土岐工場の外観及び代表者の佐野社長(右)と下河原CO(左)

 

支援の成果

今後も継続する労務費高騰に備え、スライド制価格転嫁で合意!

2025年度からの単価改訂を申入れ、満額には至らなかったものの八割方は主要顧客から認められ、同社の収益は大きく改善が見込まれる。今後はエクセル自動計算による単価表を利用し、毎年度単価を自動更新していく運用を顧客と相談している。今後数年間、労務費は上昇見込みだが、公的な指標から加工費部分の改定額を自動計算する。これにより同社、顧客ともに合理的で公平な値決め方法にて、交渉に要する時間と労務工数を削減する見込みである。

 

相談者の声

以前、別の機関からの専門家派遣も受けたのですが、難しい原価計算の計算式をレクチャーされるだけで、当社には合いませんでした。よろずのCOは少ないマンパワーで原価データも不足している当社でも無理なく、客観的な原価管理手法を、一緒に考えてくれました。労務費転嫁の土台となる単価改訂方式を顧客と合意出来て、とても助かりました。

 

 

 

 

代表者の佐野社長

 

支援事例②:日本初多段式の革新トマト栽培を“数値力”で後押しする伴走支援

相談者様概要

事業者名:株式会社川助農園
業種  :農業・漁業・林業
代表者 :代表取締役 名倉 秀樹(なぐら ひでき)
〒496-0869 愛知県津島市河原町45番地
URL:https://www.kawasuke-nouen.com/index.html

概要

明治末期に創業し、4代にわたり革新を重ねてきた老舗農園。昭和初期には、南極大陸昭和基地の食材として使用された。水耕・空中・ストレス加圧式など独自技術を特許化し、省力・高品質栽培を実現。JAに依存せず、自社ブランディングと販路開拓に注力し、アオキスーパー・成城石井・サガミチェーン等と取引。トマト類や葉物野菜などを栽培・販売する。ふるさと納税返礼品にも採用され、地域農業の先導役として高く評価されている。

業務風景

 

 

 

相談のきっかけ

相談者は、従来の栽培方法に限界を感じ、省力化と気象リスクの克服に向けた新たな栽培方法を検討していた。令和6年、担当COの知人である税理士(仁井田氏)からの紹介をきっかけに、よろず支援拠点へ相談。すでにトヨタ車体と栽培安定技術の実証実験を進めていたが、当時は設備の価格も導入コストも不明瞭で、投資対効果の算出もできない状況だった。技術的な興味だけでは前に進めず、経営判断を下すための外部支援を求めていた。

 

相談者の状況や課題

投資判断の材料が不足し意思決定が困難な状況

相談者は、省力化や気象リスクの低減に向けて新たな栽培開発を検討していた。既に一部設備についてはトヨタ車体と実証実験を行っていたが、未だかつて実例がなかったため、総投資額や運用コスト、導入によって得られる生産性効果が不明確であった。また、金融機関に対しても具体的な投資計画や収支シミュレーションを提示できず、融資相談に進めない状態であった。現場では人手不足や猛暑による収量低下が続き、新栽培導入の必要性は高まっていたが、経営的な裏付けがないままでは意思決定にリスクを伴うため、まずは財務分析と投資判断のための材料整理が喫緊の課題であった。加えて、経理業務は社長夫人が行なっており、日々の業務に追われる中で冷静な数値検証や将来計画に時間を割けない実情もあった。

実証実験の様子

 

支援内容

数値の見える化と計画整理で設備投資を後押し

相談者は、新しい栽培システムの導入を検討していたが、どれくらいの投資が必要で、どのくらいの効果があるのかが分からず、判断に迷っていた。そこでCOは、日本政策金融公庫を紹介し、面談にも同席。金融機関に説明するための投資計画の策定を支援した。また、売上を「1aあたりの生産量×出荷単価×実販売率」に分けて考え、売上が下がったときに何を見直すべきかを整理。生産量が落ちたら作業の見直し、単価が下がったら品質管理や販路の検討、販売率が落ちたらロスや在庫の管理強化など、行動レベルでの改善を助言した。さらに、定植・収穫のタイミングに合わせた簡単な計画表を作成し、毎週の実績を確認するしくみを提案。相談者はこれらをもとに、金融機関に提出する資料を作成することができた。

 

支援の成果

日本初となる多段式安定栽培で省力化を実現

新たに開発した「多段式安定トマト栽培システム」は、垂直空間を活用した日本初の技術であり、生産効率を大幅に向上。LEDによる光合成促進、太陽光パネルと蓄電池による省エネ制御、保水性シートによる糖度管理などを組み合わせ、品質と収量の両立を目指している。投資計画の可視化により、日本政策金融公庫より3,000万円の資金調達を支援。今後は天候で苦しむ農家や、安定供給を望む消費者に、本システムを広げていく方針。

 

相談者の声

正直、数字が苦手で、最初は何をどう判断すればいいのか分かりませんでした。そんな中、片桐さんが一つずつ丁寧に整理してくれたおかげで、事業投資に対する考え方が変わりました。現場のスタッフも巻き込んで進めてもらったおかげで、組織全体が前向きに変わったと感じています。本当に感謝しています。

 

 

 

 

 

代表者の名倉氏(左)と片桐CO(右)