#04

中小企業で始めるIT活用

ITツールを自分で作ることの重要性

株式会社 建和

DX事例:株式会社 建和

デジタル化の背景・目的

 (株)建和は、主に自動車のシート用の部品を金属プレスで製造している。

 2014年頃から賃加工からの脱却を目指して、自社製品開発の取組を進めており、2018年頃よりその取組が奏功しはじめ売上・利益率が向上しているところである。

 顧客の殆どが主にシートというEV化の流れに左右されにくい市場であるため、当社の強みは、継続的に顧客の保有するニーズを詳細に分析し、顧客ニーズを満たす為の開発を行えることである。その結果、近年では開発の進度と設備の導入によって売上をコントロールすることが出来るようになった一方、受注が拡大したことで金型内製力不足が顕在化し、喫緊の経営課題となった。

 金型内製力の不足に対しコロナなど不確かな外部 環境が多い中、従来的な「人を増やす」「設備を増やす」「事業所を増やす」といった固定費増大を容認する考えではなく、スマートな解決方法を模索した。

 金型内製力の強化のために以下の4項目について改善・改革を計画した。
1.金型小型化開発達成目標:金型の重量を2020年比40%低減
2.トライアンドエラーの簡略化達成目標:金型のトライ時間を2020年比20%低減
3.金型加工の簡略化達成目標:金型の加工時間を2020年比20%低減
4.ITの利用によるリソースを有効的に活用し達成目標:金型製造の納期30%低減

デジタル活用の概要

  • google workspaceを導入し、そのクラウドサービスを使用して、自社専用業務システムを自社開発した。
    (株)ソフトバンクからの技術供与を受けつつ、当社のこれまでの生産管理ノウハウを詰め込んだ a.材料の発注 b.製造への生産指示 c.勤怠データ取得から給与計算の自動化に成功した。
  • 現場からの生産情報のリアルタイム入力・請求書の自動発行など、これまで作ったシステムを拡充(DX化)し、個々の入力・業務を洗い出し、徹底した削減・自動化を行う。
  • 金型の内製能力を向上させるため、ITの利用によるリソースの有効活用

 2020年に培ったシステム開発の技術を利用し、納期と現状の差異を個人のタスクとして進捗を管理する。

 これらのシステムを開発し、その他の活動も含み金型製造の納期を30%低減させる。

デジタル活用の概要
デジタル活用の効果
技能の継承や技術者の育成

 今回のプロジェクトを通じ、ITを利用し自社システムを構築できる人材を2人育成することに成功した。

一人当たり売上高の増大

 自社開発システムによって 1.材料の発注 2.製造への生産指示 3.勤怠データ取得から給与計算の自動化に成功した。

 その結果、従業員一人ひとりの生産性向上により、従業員を増やすことなく受注増に対応することができ、従業員一人当たりの売上高が17%増加した。
 一人当たり売上高 = 年間売上÷人数
 平成28年 842百万円÷48人=17.5百万円/人
 令和1年 982百万円÷48人 =20.5百万円 / 人 (17%増)

 クラウドサービスのスプレッドシートや RPAなどを活用し、材料発注、製造指示、給与計算などの業務の自動化を自社開発により実現した。

 社長自らがプロジェクトリーダーとなり、従業員と一体的に推進することでITを利用し自社システムを構築できる人材を育成することができた。

 自社の業務を自らシステム化することにより業務の大幅な効率化を達成し働き方を改革することができた。
・自社システム構築によって従来業務の簡略化に成功
・簡易的なシステムの構築・編集が自社で可能となった
・社長がいなくても、給与計算ができる仕組みの実証ができた

デジタル活用の効果 デジタル活用の効果

今後の課題・目標

 今後、がんばった人が評価される仕組みを構築し、評価まで行えるシステムにするために拡張が必要となり、またこれらシステムの高度化のためには、現場との連携が必要となる。

 さらに現場と「正確に」連携するシステムと現場力を獲得することが必要である。

 自社の業務プロセスを正確に把握しているのは、自社の経営者や管理者、あるいは担当者であるため、この業務のシステム化は自社で行うことが最も効果的で効率的であることは明らかです。

 今後はさらに各業務のシステム化を自社で開発していきます。

今後の課題・目標

代表者からのメッセージ

代表者の写真

株式会社 建和
代表取締役

山本道典

 ITを含む最新技術、古来からある技術を蓄積適用することにより、1人当たりの売上高を平成28年度比41%増加、加工における外注比率の低下に成功しました。

 中小企業の社長として現場で手を汚しながら達成へのプロセスを感じています。

企業情報

株式会社 建和
会社の写真
本社所在地 愛知県安城市東端町青ノ山19番地1
T E L 0566-92-6295
F A X 0566-92-6297
創業年月 1969年2月18日
資本金 1,000万円
売上金 11億円
従業員数 43名
H P https://www.kenwa-press.com/
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