IT管理者お助けマニュアル

【クラウド】

2.1 クラウドとは

「クラウド」とは、ユーザーがサーバーなどのハードウェア、あるいはシステムを所有していなくとも、インターネット経由でサービスを必要な時に必要な分だけ利用できる仕組みを指します。この仕組みを活用したサービスを「クラウドサービス」といいます。(利用権の期間契約)
従来の「オンプレミス」という形態では、サービスを利用するためにサーバーの購入、システムの導入やその運用・管理を行います。それに対して、クラウドサービスにおいては、サーバーの所有やシステムの管理を行う必要がなく、利用権の取得だけでたくさんのサービスを利用することができます。

オンプレミス クラウド
利点
  • カスタマイズの自由度が高く、思い通りの構成を組むことができる
  • 自社主導でシステムを運用できる
  • 社内管理者の裁量でトラブルの原因究明、解決ができる
  • 必要な時に必要なサービスを利用できる
  • システム機器の管理が不要
  • 短時間で利用開始できる
  • 最新のバージョンを利用できる
欠点
  • 初期費用が高い
  • 機器調達および構築に手間と時間がかかる
  • 最新のバージョン更新やセキュリティパッチ運用などの管理が必要
  • 機能のカスタマイズ自由度が低い
  • クラウド事業者の管轄にゆだねるため、自社ですべて管理することは不可能
  • ネットワーク環境下でなければ利用できない

ところで、なぜ「クラウド」と呼ぶのでしょうか。理由には主に2つの説があります。1つは、インターネットを「雲」すなわち英語のcloudに見立て、ユーザーが雲の向こう側にあるサービスを利用するイメージに結び付けて呼ばれるようになった説です。実際にクラウドを図解したものや、クラウドサービスの図のほとんどは雲が描かれたものが多く見られます。また一方では「群集・集約」といった意味を持つ英語crowdをあてがい、無数のアプリケーションや、集約されたシステムという意味で呼ばれるようになったともいわれています。

クラウドサービスは多種多様で、大きく3種類に分けることができます。

  • サーバー(インフラ)提供サービス(IaaS)
    OSやサーバー、メモリ、CPU、ストレージ、ネットワーク機器など、システム構築の基幹となるハードウェアの調達と利用を、インターネットを介してサービスとして提供します。各種構成を自由に選択できるため、カスタマイズの自由度が高いサービスです。
  • プラットフォーム提供サービス(PaaS)
    ソフトウェアを稼働させるための基盤となるプラットフォームを提供します。
    プラットフォームを導入すれば、ソフトウェアの提供および開発・実行環境が利用できるようになります。
  • ソフトウェア提供サービス(SaaS)
    従来はソフトウェアを購入し、インストールして利用していたシステムを、インターネットを介してサービスとして利用できます。サービス提供者によるバージョンアップが行われ、常に最新のものを利用できます。