IT管理者お助けマニュアル

【ネットワークとは】

1.1 ネットワークの基本

ネットワークとはコンピューター同士やデバイス(プリンターやスマートフォンなど)をケーブルまたは電波によって接続し、データの通信を行う技術のことを指します。かつては、ネットワークに接続せずコンピューターが単独で機能するスタンドアローンといわれる環境が主流でしたが、現在では、ほとんどすべてのコンピューターがネットワークにつながっています。

・接続方式

ネットワークへの接続方式は、有線と無線の2種類があります。

有線接続は、コンピューター同士やデバイスをLANケーブルで接続してデータの通信を行います。

一方で、無線接続は電波を利用してデータの通信を行います。スマートフォンをはじめとするモバイル端末が普及し、その需要は飛躍的に高まりました。

有線接続は、LANケーブルによる接続のため、安定したデータの通信が可能です。また、設定も簡単なうえ、セキュリティの観点からも無線接続と比べると安全といえます。

一方で、LANケーブルが邪魔だったり、コンピューターが複数接続されている場合に配線が交錯して分かりづらくなったりするところが欠点です。

無線接続はLANケーブルを使わず、電波によってネットワークを構築するため、有線接続に比べて物理的な制約は少なく、配線などによる煩雑さを感じさせません。家庭内や社内などの限られた範囲内ならば、電波を介していくつものコンピューターやデバイスを相互接続させることができます。

しかし、有線接続に比べると初期設定が複雑なのが欠点です。環境によって通信状態が左右され、安定しないことがあります。また、電波が拾える範囲内であれば敷地外からもアクセス可能で使えることから、セキュリティリスクも有線接続に比べて高いです。

有線接続 無線接続
利点
  • 安定したデータ通信
  • 設定が簡単
  • 比較的安全に利用できる
  • 物理的制約が少なく煩雑さを感じない
  • 限られた範囲内においていくつもの機器を相互接続させることができる
欠点
  • LANケーブルの配線が面倒で邪魔になることもある
  • 配線が交錯すると分かりづらくなる
  • 有線接続より初期設定が複雑
  • 通信状態が環境に左右され、安定しないことがある
  • セキュリティリスクが比較的高い

・LANとWAN

ネットワークは、その接続の規模や範囲から LAN(Local Area Network)とWAN(Wide Area Network)に分けることができます。

LANは、家庭内や社内など、限られた一定の範囲内でのみ接続ができるネットワークです。

WANは、名古屋と東京など拠点が離れた地域にある場合に、各々のLANを電気通信事業者(ISP)の保有する設備を通してつなぐ拠点間ネットワークです。

・VPN

VPN(Virtual Private Network)はWANの一種で、インターネット上に仮想的な専用ネットワークを作り、安全で利便性の高い経路を使ったデータ通信を可能にする技術です。これにより、通信の盗聴やデータの改竄などの脅威を防ぐことができます。VPNを利用する方法は、複数の拠点にあるLAN同士をつなぎ相互のデータにアクセスするケースと、外出先のコンピューターから社内LANに接続するケースの2つがあります。

なお、VPNを使用せずに安全に拠点間ネットワークを構成する手法として「広域イーサネット」もあります。

主な拠点間ネットワークについて、以下に比較します。

IP-VPN インターネットVPN 広域イーサネット
利点
  • ISPの提供している閉域網(限られたユーザーだけが利用可能な広域通信網)を使って接続
  • 一般のインターネット回線を使って接続
  • 低コストで済ませることができる
  • ISPの専用回線または閉域網を使って接続
  • IP-VPNと構成はほとんど同様であるものの、構成の自由度が高くカスタマイズが可能
欠点
  • 導入にはISPとのサービス契約が必要
  • コストが高め
  • 不特定多数が利用しているインターネットを介すため、セキュリティ面にやや不安
  • 共有回線の使用により通信速度が安定しない場合がある
  • 導入にはISPとのサービス契約が必要
  • コストが高め
  • カスタマイズが可能な反面、ネットワーク設定が煩雑になりやすい