見込み客管理

「見込み客」とは?

新規開拓営業に力を入れていくと、必然的に商談の件数が増えていきます。すべての商談相手がすぐに契約をしてくれればよいですが、現実はそうはいきません。商談をしてすぐに契約をする確率は、全商材を平均して1/15という結果(※1)が出ています。商談をしても大半の企業はすぐに契約をしないということになります。
※1 ㈱アイランド・ブレイン調べ

ここでは『見込み客』の定義を「1度は商品・サービスについて話を聞いたが、まだ1度も発注をしていない企業全般」とします。初回の商談で、もう少しで購入をして頂けそうな方もいれば、箸にも棒にもかからない方もいますが、そういった先すべてを『見込み客』と捉えます(図9)。


図1:見込み客フォロー

「箸にも棒にもかからない相手を見込み客とする必要があるのか・・・?」という質問を受けることがあります。では、その相手はなぜ商談に応じたのでしょうか?本当に対象外の方であれば、商談そのものを断っているはずです。商談に応じたということは、現在は必要性を感じなくても年単位で見れば必要性が生まれるかもしれないと捉えるべきです。

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見込み客の種類

見込み客には大きく分けて2つの種類があります。それは『短期的な見込み客』と『長期的な見込み客』です。

短期的な見込み客とは、具体的に提案する案件があり、次に何をするか期限が決まっている見込み客のことを指します。見積もりをいつまでに提出する、いつ再訪問をする、現場を調査するなどが決まっていて、それを守っていけばフォローができるという先です。よって短期的な見込み客については、どのようにフォローをしていくのかについて特に気を配る必要はありません。

一方で、長期的な見込み客とは、将来的には取引の可能性がありながらも、次に起こすアクションの期限が決められない先です。「何かあったらこちらから連絡をしますね」などと言われ、こちらから積極的に連絡ができない先です。見込み客フォローの課題は、正確には「『長期的な見込み客』のフォローをどうするか?」ということです。長期的な見込み客は、こちらから積極的に連絡をすることができません。そうかといって放っておくと、気付いた時にはニーズが生まれていて他社で実施をしていたりします。この時に御社に再び連絡が来ることはないことが多く、連絡をしておけば、コンペに参加したかったと思っても後の祭りになります。せっかく1度は訪問して商談を獲得した先です。長期的な見込み客となった後も何かしらの連絡をして、タイミングが来た時には再びこちらにも連絡が来るようにしたいものです(図10)。


図2:見込み客フォローの必要性

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見込み客フォローの目的

長期的な見込み客は具体的な案件や要件がないため、こちら側からの積極的なアプローチができません。しかし、放っておくと1度商談をしたことを忘れられ、ニーズが生まれた時に他社に依頼されてしまいます。では、この状況をどのように打破すればいいのでしょうか?

そもそもの話ですが、見込み客フォローの目的とは何になるのでしょうか?見込み客フォローの目的は「提案ではなく情報提供」「売り込みではなく忘れ防止」とすると、見込み客フォローの方法が見えてきます(表7)。

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提案 情報提供
売り込み 忘れ防止
表7 見込み客フォローの目的

見込み客とはどういう人かを改めて考えてみます。1度は商談をしましたが、現在は必要ない、購入しないと判断をした人たちです。その人に対して、継続的に売り込みを続けることは、お互いに良いことではありません。こちら側も徐々に気まずくなり、連絡ができなくなってしまいます。

しかし、将来的には買うかもしれないという可能性も持っている人たちです。その人たちが求めているものは、提案ではなく情報提供なのです。具体的な提案は必要ないが、その業界に詳しい人からの情報提供に対しては興味を示します。将来欲しくなる時に向けて、必要な情報はキャッチしておきたいのです。

そして、定期的な情報提供は売り込みにはなりませんが、長期的な見込み客の最大の敵である「忘れ」を防止することになります。適切な情報提供を継続的に行うことにより、御社のことを忘れることなく覚えておいてもらうことができれば、いざニーズが発生した時に連絡を頂ける可能性を飛躍的に高めることができます。

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見込み客フォローの具体的な方法

見込み客フォローは、提案や売り込みを行う必要がありません。よって、時間を取って訪問活動をすることは、お互いに時間を浪費してしまいます。郵送物(ニュースレター)、メールマガジン、facebook等の通信手段を活用してのフォローを行うことが効果的です。送信する側も多くの見込み客を1度にフォローすることができ、受け取る側も見たい時に見ることができます。

また、見込み客フォローは長期的な取り組みが必要です。1度何かを始めたら、2年や3年というスパンでの継続が求められます。1度必要ないと言った相手がその商品・サービスを欲しくなるまでには、そのような期間は普通に必要だからです。

そのため、見込み客フォローを張り切って大々的に始めてしまうと、後で息切れしてしまいます。「メルマガを1週間に1回送ろう」「ニュースレターをデザインを凝ったものを送信しよう」と言って始めても、後で続かなくなってしまっては本来の目的が果たせません。メルマガであれば2週間に1回、郵送物の情報発信であれば3ヶ月に1回というようなペースで、小さくても息の長い取り組みを行っていきましょう。

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