目標管理・進捗管理

「目標管理」とは

目標管理とは、文字通り「目標」を「管理」するということで、設定した目標を達成できるように、関連する事項をコントロールして目標達成まで到達させることです。

新規開拓営業において、目標設定は不可欠です。しかし目標を設定するものの、実際には到達不可能な非現実的な目標設定をしていたり、既存顧客対応が忙しくなって新規開拓営業の取り組みができていなかったり、期限ぎりぎりになってもまだ目標達成の目途が立ってなかったり、最初に設定した目標を下方修正せざる場面をよく目にします。この章では、設定した目標を期限内に達成ができるように、関連する事項をコントロールする方法をお伝えしていきます。

目標達成までのプロセス

目標を設定してから達成するまでのプロセスは、下記図11です。

図1:目標設定~達成するまでのプロセス

まずは、達成すべき目標を立案します。そしてその後には目標を達成するための計画を作成します(P : Plan)。そしてその計画を実行(D : Do)し、計画通り進んでいるかどうか、進んでいなければ何をどう修正するのかの進捗確認(C : Check)をします。そして修正した内容を基にまた実行します(A :Action)。よく、PDCAサイクルと言われますが、より分かり易く表現するために、AもDと表現します。そして、実際のPDCAサイクルの動きは、目標設定をした後に計画を立案し、その後に実行と進捗確認を繰り返すことになります(PDCDCDCDCDCDC・・・)。

計画立案は最初に大きく行いますが、その後は実行と進捗確認・計画修正を繰り返します。再び計画立案という大きな取り組みを行うのは早くて3ヶ月、一般的には6ヶ月程度は最初に立案した計画を修正対応していきます。

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目標を設定する

目標達成までのプロセスの最初の段階は、目標設定です。「目標設定」と一言で言いますが、実際には精度の高い目標設定をすることはとても難易度が高く、十分な検討期間と経験値を必要とします。精度の高い目標設定をするため、以下の点を注意していきます。

1つ目は、成り行きで達成される目標を設定しないこと。目標とはそもそも、現状維持より良い状態を目指し、設定されるものです。成り行きで達成される状態をOKとするのであれば、目標を意識する必要はありません。意外かもしれませんが、実際のビジネスの現場では成り行きでOKという状態は多く発生しています。

2つ目は、到達不可能な目標設定はNGです。はるか高い目標を設定し、果敢にチャレンジすることで「その目標は達成ができなかったとしても、当初に比べたら大きく進歩をしている」このような状態を期待して、到達不可能な目標を設定する組織もあります。山登りをほとんどしたことがない人に、半年後にエベレストを登るという目標設定を立てさせ必死でトレーニングをさせる。そうするとエベレストには登れなくても、富士山には登れるようになっている、といったイメージです。しかし、この考え方には1つ大きな欠陥があります。それは、人は明らかに到達不可能な目標設定を課されると、果敢にチャレンジするどころか1歩も前に動かなくなります。到達不可能な目標設定は組織の停滞を招いてしまう恐れがあります。

目標設定は、少し頑張れば到達できる、到達できた時には達成感と喜びがある、ところに設定をすることがポイントです。

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計画を立案する

目標設定を行った後には、その目標を具体的にどう達成するのかについての計画を立案します。この「計画立案」も目標設定とならび非常に難易度の高い仕事であり、大切な技術やポイントがあります。

1つ目は、目標達成に有益であると考えられる手段をすべてリストアップすることです。実際に実行に移すかどうかは後で考え、候補となる手段はすべて書き出し、最も有効な手段を選定し実行に移ることが大切です。1つの有効と思われる手段を思いついた時に、その方法をすぐに実行に移してしまう。しかし結果的に、その方法は有益ではなく他の手段の方が有効だったという、計画立案の失敗を防げます。

2つ目は、目標設定と計画立案は同時に検討することです。目標と計画は別々に考えることができません。この目標だからこの手段を取る、ということもあり得ますし、この手段を思いついたから目標を変える、ということもあり得ます。目標設定は計画が固まった段階からは変えてはいけませんが、計画立案の段階では目標設定は可変でよいのです。目標設定と計画立案は同時に検討をしていきます。

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実行する

計画で決めた行動を実行します。実際の営業現場においては、この実行段階に問題を抱えることも多くあります。皆で目標設定をし、このような計画で実施すると決めたにも関わらず、その通りに実行できないことが発生します。これには、大きく2つ原因があります。

1つ目は目標設定に問題を抱えていることがあります。特に前述の到達不可能な目標設定の場合、表面上は目標や計画に合意をしていますが、実際には合意をしていない、実行する気を持っていないという状態です。

2つ目は計画の実現性が乏しいというものです。計画に無理があったり、何をするかが曖昧だったりすると、計画の通りに実行をすることができません。

目標設定と計画立案が適切であれば、実行に問題を抱えることはほとんどありません。計画通りに実行がなされないという場合は、その前段階の目標設定と計画立案を見直すことが効果的です。

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進捗を確認する

計画を実行したら、一定期間のペースで進捗を確認します。営業活動の進捗確認のペースは週1回の実施を推奨します。営業の進捗会議を月1回行っている企業がありますが、月1回のペースでは結果確認となってしまい、目標達成に向けた現状認識と計画修正という本来の進捗確認の役割を果たせません。

進捗確認にも技術があります。まずは、足りないことを確認することだけでは進捗確認としては不十分です。
「今月の目標は200万円、1週間経った現在の成果は50万円、あと150万円足りないから頑張ろう」このような会議をする企業がありますが、あと150万円足りないのは引き算をすれば誰でも分かります。わざわざ会議を開いて確認をする必要はありません。進捗確認とは、目標に対してどれだけ差異があるのかを確認し、その差異を具体的にどのように埋めていくのかを考え、当初の計画を修正するところまでを含みます。現状確認を行うと計画に対して遅れを取っていることが多くなります。しかし、目標設定とその期限は変わりません。よって、当初の計画よりも速く、効率的に行動し成果を出す必要があります。しかし、数字のつじつまを合わせだけをした修正計画を作っても、実現可能性がありません。当初の計画よりも厳しくなる中で、いかに実現可能性を担保した修正計画を立案することができるか、進捗確認が難しい理由はここにあります。

当初の計画の精度が高ければ、進捗確認による計画修正の幅も少なくて済みます。しかし、いかに計画を緻密に作ったとしても、当初の計画通りに物事が進むことは稀です。進捗確認・計画修正の技術を身につけ、実現可能性のある計画修正を繰り返し行う事により、目標達成への階段を1歩1歩登って行くことに繋がります。(図12)

図2:目標達成に向けた進捗管理のイメージ

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