近ごろ、植物性乳酸菌の使用を強調した新商品が各種出回っており、人気を得ています。
例えば、植物性乳酸菌で発酵させた野菜飲料が今年に入って相次いで発売されましたが、予想を上回る売れ行きに生産が追いつかず品切れが続出し、販売地域縮小に追い込まれたものもありました。他にも、植物性乳酸菌で発酵させたヨーグルトをはじめ、植物性乳酸菌で発酵・発芽させた発芽玄米や植物性乳酸菌を含むというサプリメントなどの健康補助食品が多数販売されています。いったい、「植物性」の乳酸菌とはどういうものでしょうか。なぜ今、植物性乳酸菌が注目を集めているのでしょうか。
まず乳酸菌と聞いて、皆さんの中にはヨーグルトやチーズをイメージされる方が多いと思います。もともと乳酸菌とは、その名のとおり乳酸を多量に作る菌のことで、糖類をエネルギー源として乳酸を主要な代謝産物とする(消費した糖に対して50%以上の乳酸を作る)細菌の総称です。写真は分裂中の乳酸菌の電子顕微鏡写真です。現在、乳酸菌は発酵食品などの食品製造にとどまらず、バイオプリザベーション(乳酸菌が作り出す抗菌物質の作用により食品貯蔵性を高める方法)において、また、プロバイオティクス(腸内環境を改善するなど安全で身体によい影響を与える微生物)として、さらには、ポリ乳酸を原料とする生分解性プラスチックの生産といった工業分野など、幅広く活用されています。
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