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ロープの引張変形シミュレーション
三河繊維技術センター 記事更新日.13.07.01
あいち産業科学技術総合センター 
■問合せ先
〒443-0013 蒲郡市大塚町伊賀久保109
TEL 0533(59)7146 FAX 0533(59)7176

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愛知県の東三河地方に国内最大の産地を有する繊維ロープは、漁業、船舶・海事、陸上用など様々な用途で用いられています。繊維ロープは複数の繊維が集まってストランドと呼ばれる繊維束を構成し、そのストランドが3本撚り合わされた構造となっています。使用されている繊維素材やその構成によってそれぞれ異なった特性を持っていますが、その設計においては知識と経験を活用し試作を繰り返すという試行錯誤的、人海戦術的な方法で対応しているのが現状です。
機械、電気・電子、建築・土木、化学などの各分野ではコンピュータシミュレーションなどにより製品の設計、製造や工程設計の事前検討を行うCAE(Computer Aided Engineering:計算機支援工学)が導入されており、製品製造における最適な設計条件の求解や、試作回数の削減、リードタイムの短縮、開発コストの低減化などが実現されています。しかし、ロープについてはワイヤロープでシミュレーション技術の研究開発が行われていますが、繊維ロープについてはシミュレーションやCAEの取り組みがほとんどなされていませんでした。
従来の撚糸・繊維ロープの変形シミュレーションでは、撚糸または繊維ロープ全体を1つの要素として考え対象物のモデル化を行っていました。しかし、実際は撚糸や繊維ロープは複数の繊維(フィラメント)が集合して構成されており、これらの相互作用によって伸張挙動は複雑に振る舞うため、伸張挙動の予測では十分な精度を有していませんでした。そこで、糸の構成要素であるフィラメントや、繊維ロープの構成要素であるストランド、ヤーンなどをそれぞれ個別に要素化を行い、既存の撚糸・繊維ロープの変形シミュレーションでは導入されていないマルチスケール解析手法を導入しました。これにより、構成要素間の相互作用の影響を考慮しながら撚糸および繊維ロープ全体の伸張挙動の予測計算を行うことで精度向上を図ることができると考え、構成されている撚糸、ヤーン、ストランドの順にマルチスケールシミュレーションにより最終的に三つ打ちロープモデルの伸張変形シミュレーションを行うソフトウェアの開発を行いました。
この手法は、繊維ロープのそれぞれの構成要素に対して繊維相互間力、中心力、粘性抵抗を計算する引張変形の運動方程式を求め、離散化した微分方程式の数値計算により引張変形時の形状並びに応力ひずみ曲線を算出するもので、撚糸・ロープを構成する繊維を個別に要素化するため、計算量は膨大なものとなります。このため、本研究の実施に当たっては並列演算処理など高速計算手法の導入が必須となります。
本研究で開発したシミュレーションソフトウェアは、マルチフィラメントの応力ひずみ曲線から三つ打ちロープの応力ひずみ曲線をシミュレーションすることが可能で、コンピュータ上での繊維ロープの設計が可能となりました。
これにより、CAEを活用してロープ設計の迅速化、試作費用の低減化等を図ることにより産地の競争力向上が期待されます。また、本研究では、代表的な繊維集合体であるロープをモデル化し、ロープ設計の迅速化、低コスト化を図っていますが、このモデル化手法は、他の繊維集合体の事象(破断、遮熱、遮音等)の解析にも活用できると考えられます。
 



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