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地球環境に優しい植物系素材の活用について
尾張繊維技術センター

記事更新日.17.07

あいち産業科学技術総合センター 
■問合せ先
〒491-0931 一宮市大和町馬引字宮浦35 TEL 0586-45-7871  FAX 0586-45-0509
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1.はじめに 

低炭素化社会への対応として、石油系材料に代わり、植物系の素材から工業部品を作る取り組みがなされてきています。しかし、植物材料には強度、耐熱性、耐久性などに欠点があるため改質が必要になります。そこで、植物系素材である天然繊維とバイオプラスチックを複合した、天然繊維強化樹脂(NFRP)が開発されています。この材料は、日常生活用品から電機・電子機器、車両、船舶、住宅、建築まで広く活用されているガラス繊維強化樹脂(GFRP)の代替材料としての活用が期待されています。
今回は、熱硬化性樹脂系NFRPとして、低温成形が可能なバイオポリウレタンと耐久性や強度に優れた天然繊維織物を活用した「天然繊維織物/バイオポリウレタン系NFRP」の事例について紹介します。


2.従来品との比較 

従来の工業部材には、ガラス繊維と石油系材料を混ぜたガラス繊維強化樹脂(GFRP)が多用されてきました。しかし、ガラス繊維は燃やしても分解しないため、そのほとんどが産廃として処分されます。また、埋め立て処分場は年々減少しており、処理費用が高騰しています。さらに、ガラス繊維に混ぜる石油系材料は温室効果ガスである二酸化炭素を増加させることから、地球温暖化も危惧されています。
NFRPは天然繊維を使用しており、微生物による分解および焼却処分が可能になります。そのため、ガラス繊維のように埋め立てる必要はなくなり、処理費用を低減できます。また植物系材料は、生成・分解時に排出される二酸化炭素を植物によって吸収することができるカーボンニュートラルな材料でもあります。以上のことから、二酸化炭素を増加させずに地球温暖化を抑制できます。また石油を使用しないため石油の枯渇化の対策にもなります。


3.NFRPについて 

天然繊維強化樹脂(NFRP)は、処理のしやすさからガラス繊維強化樹脂(GFRP)の代替材として使われています。現行の「天然繊維/熱可塑性樹脂系NFRP」には、繊維長の短い天然繊維や熱可塑性バイオプラスチックが用いられています。しかし、高温で成形するため、天然繊維の熱劣化や樹脂の加水分解が起こり、耐久性や強度が低下することが問題になっています。そのため、低温成形が可能な樹脂が求められています。 バイオポリウレタンは、熱硬化性樹脂であるため低温成形が可能な樹脂です。また、天然繊維は、織物にすることで耐久性と強度を上げることができます。これら用いることにより、焼却処分が可能で、強度や耐久性に優れた「天然繊維織物/バイオポリウレタン系NFRP」を作製することができます。


4.「天然繊維織物/バイオポリウレタン系NFRP」 

・使用材料
植物由来のバイオポリオール((株)伊藤製油製)とイソシアネート(日本ポリウレタン工業所(株)製)を用いました(図1)。バイオポリオールとイソシアネートは、種々の条件で混ぜ合わせた後に熱をかけることで硬化してバイオポリウレタンになります(図2)。また、天然繊維織物にはケナフ織物((株)ユニパアクス製)を用いました。ケナフ織物は精錬して真空乾燥で水分を飛ばしてから使用することによって、NFRPの成形性を高めました。

・成形方法
1mm厚の金型に、ケナフ繊維織物を敷いて、混ぜ合わせた樹脂を素早く流しこみます。それを熱プレス成形機に入れて110℃で加熱しながら10分間のプレス成形を行います。こうすることで1mm厚の「ケナフ織物/バイオポリウレタン系NFRP」の平板ができます(図3)。金型を変えればNFRPの形状も変化します。

・試験結果
「ケナフ織物/バイオポリウレタン系NFRP」の強度や耐久性を評価しました。その結果、強度はケナフ織物の割合が大きいほど強くなり、耐久性はサンシャインウェザーメーター(水の噴霧有)による200時間の試験をクリアしました。また、成形温度は従来品の200℃に対し、開発品は110℃まで下げることができました。。


4 おわりに 

本研究は、国立研究開発法人 科学技術振興機構 平成25年度研究成果展開事業 研究成果最適展開支援プログラム フィージビリティスタディステージ 探索タイプにおいて実施しました。また、当センターでは上記以外にも様々な研究に取り組んでいます。繊維をはじめとする依頼試験や技術相談にも応じていますので、お気軽にご相談ください。


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