1.はじめに
温度、湿度やガス雰囲気など様々な環境下での物質の状態を調べることを「その場測定」といいます。物質の品質評価や検証、新規機能性物質の開発のために、物質の反応メカニズムや、そのときの状態そのままを計測できる「その場測定」の要求は高まっています。「その場測定」の条件として温度変化、湿度変化、雰囲気ガスとの反応、電池材料の充電、放電反応、フィルム、ゴムなどの高分子材料の延伸による変化など様々な環境下が考えられ、また測定技術も走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)などの顕微鏡観察やX線吸収微細構造(XAFS)、赤外吸収分光(IR)やラマン分光法による物質の状態分析などその手法も多岐に渡ります。その中でも本稿では、物質の結晶状態を調べる手法として材料開発によく利用されているX線回折(XRD)測定による「その場測定」を行った事例について紹介します。
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