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炭素・硫黄含有量の測定について
炭素硫黄分析装置による工業材料中の
炭素・硫黄含有量の測定について
産業技術センター 化学材料室

記事更新日.20.5

あいち産業科学技術総合センター 

■問合せ先
〒448-0013 刈谷市恩田町1-157-1
TEL 0566-24-1841 FAX 0566-22-8033

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1.はじめに 

 炭素および硫黄は、鉄鋼材料、非鉄金属材料、セラミックスなど様々な工業材料において、添加物あるいは不純物の形で含有され、材料の特性に影響を与えます。例えば、鉄鋼材料中の炭素は、材料の硬さや強さに寄与するため意図的に添加されることが多い一方で、加工性の高い自動車用の特殊な鋼板では、炭素含有量を0.001%未満まで抑えることがあります。また、鉄鋼材料中の硫黄は、不純物として材料中に多量に残存すると、材料を線材や薄い板材に加工する際、割れや折れなどの原因となりえます。
 炭素および硫黄の含有量は、工業材料により大きく異なり、先述の鉄鋼材料でも、炭素量が極微量の材料もあれば、用途により数%含有する材料もあります。硫黄量も同様に、意図的に0.1%以上添加することがあります。さらに有機材料では、炭素を含む化合物が主成分であるため、炭素量が90%を超えます。以上のことから、様々な工業材料における品質の維持や材料特性の把握には、低濃度から高濃度まで炭素および硫黄含有量を測定することが必要となります。

2.燃焼―赤外線吸収法による炭素および硫黄量の測定方法について 

 材料中の炭素と硫黄の含有量を測定する汎用的な方法に、燃焼-赤外線吸収法があり、鉄鋼材料や一部非鉄金属材料において日本産業規格に採用されています。この方法を採用した炭素硫黄分析装置が市販されており、装置は試料の加熱方式により、高周波誘導加熱炉方式(以下「高周波炉」)と電気抵抗加熱炉方式(以下「抵抗炉」)に分けられます。高周波炉は鉄鋼材料を中心に、抵抗炉は非金属であるセラミックス・有機物等の材料分析にも広く使用されています。


 炭素硫黄分析装置の構成概要を図1に示します。装置は、基本的に燃焼炉のある抽出部、赤外線の検出部、データ処理部からなります。
 分析の流れは、まず初めに、試料を磁製容器に入れ、抽出部である燃焼炉内(A)に投入します。鉄鋼材料、非鉄金属材料において高い燃焼温度が必要な試料は、スズやタングステン、鉄などを助燃剤として試料と一緒に磁製容器に入れます。
 その後、精製器(@)を通し不純物を除去した酸素により、試料を燃焼させます。
 高周波炉では、IH調理器の原理と同じ誘導電流により、抵抗炉では、高温の炉で試料が燃焼します。燃焼後、試料中に含まれていた炭素は、二酸化炭素及び一酸化炭素として、硫黄は二酸化硫黄として抽出されます。試料からは水も抽出されますが、妨害成分となるため、脱水剤(B)により除去されます。
 抽出された炭素と硫黄の酸化物は、赤外線検出器(C)に送られます。赤外線検出器からの出力はPC等(D)により、キャリアガス流量、各ガスの濃度、およびこれらの積算質量を演算し、炭素および硫黄含有量が求められます。
 試料の炭素、硫黄含有量を求める際は、あらかじめ炭素量および硫黄量が既知の物質により、炭素量および硫黄量と赤外線吸収量の関係式を作成しておく必要があります。


 高周波炉で分析を行った鉄鋼材料中の炭素の測定データを図2に示します。測定を行うと、時間に対する炭素の抽出量を描いた曲線が得られます。この曲線で囲まれた面積を求めることで、含有量(mg)が分かります。

3.おわりに

 当センターでは、抵抗炉に加え、2019年度、高周波炉を備えた炭素・硫黄分析装置を新たに導入し、主に鉄鋼材料中の炭素および硫黄含有量の分析を行っています。基本試料量は1gであり、鉄鋼材料では、前処理が必要な場合もありますが、炭素は0.0003%以上、硫黄は0.0005%以上の測定が可能です。また使用する試料重量を減らすことで、炭素および硫黄とも高含有領域まで測定できます。装置加熱方式の使い分けにより鉄鋼材料の他、様々な工業材料についても分析可能です。お気軽にお問い合わせください。

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