1.はじめに
炭素および硫黄は、鉄鋼材料、非鉄金属材料、セラミックスなど様々な工業材料において、添加物あるいは不純物の形で含有され、材料の特性に影響を与えます。例えば、鉄鋼材料中の炭素は、材料の硬さや強さに寄与するため意図的に添加されることが多い一方で、加工性の高い自動車用の特殊な鋼板では、炭素含有量を0.001%未満まで抑えることがあります。また、鉄鋼材料中の硫黄は、不純物として材料中に多量に残存すると、材料を線材や薄い板材に加工する際、割れや折れなどの原因となりえます。
炭素および硫黄の含有量は、工業材料により大きく異なり、先述の鉄鋼材料でも、炭素量が極微量の材料もあれば、用途により数%含有する材料もあります。硫黄量も同様に、意図的に0.1%以上添加することがあります。さらに有機材料では、炭素を含む化合物が主成分であるため、炭素量が90%を超えます。以上のことから、様々な工業材料における品質の維持や材料特性の把握には、低濃度から高濃度まで炭素および硫黄含有量を測定することが必要となります。 |