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ベストフィット処理を用いたフィードバック事例

ベストフィット処理を用いたフィードバック事例
産業技術センター

記事更新日.21.05

あいち産業科学技術総合センター 

■問合せ先
〒448-0013 刈谷市恩田町一丁目157-1
TEL 0566-24-1841 FAX 0566-22-8033

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1.はじめに 

 近年、ものづくりにおけるデジタル化が進み、CAD(キャド)システムを用いた製品の設計データを起点にして、その後の工程である加工や検査まで一括して管理することで高効率・高品質な加工を実現できるようになりました。しかし、実際の加工現場では、様々な要因により、加工品の形状には設計形状から誤差が生じてしまいます。日本産業規格(JIS)では、断面形状について、円であれば真円度、異形状であれば輪郭度といった評価指標が各種規定されています。出荷前の検査として、加工品がこれらの評価指標の許容値(公差)の範囲内に収まっていれば問題ないのですが、許容値を超えてしまっている場合には、出荷を控えるとともに、早急に最善策を打たなければなりません。

2.三次元測定におけるベストフィット処理

 ここでは、カム(図1)を題材にして、ベストフィット処理を用いた加工現場へのフィードバック事例を紹介します。カムは、歯車と同様に古くから動力伝達手法として用いられてきた機構であり、現在では半導体や電子部品などを大量に製造する機械に使用されています。その形状が組付けた装置の性能に直結するため、高精度なものでは、ミクロンオーダー(1ミクロン=0.001ミリメートル)の加工精度が要求されます。
 予め測定機に読み込ませた断面形状の設計データに対して、接触式三次元測定機のスキャニング機能を用いて(実際の)加工品の断面を測定し、輪郭度評価をした結果が図2です。緑の実線が設計データ、青の点線が許容値であり、赤の実線で示される測定データ(実物形状)が一部内側にも外側にもはみ出てしまっているのが確認できます。この結果から、不良品として出荷を未然に防ぐことはできますが、この後どう改善していくべきかの情報までは読み取れません。
 そこで、設計データと測定データの偏差量の二乗和が最小になる座標系を求め、設計データに対して測定データを再度重ね合わせます。具体的には、元々設定してあった座標系に対して、測定データを平行移動・回転移動します。この「ベストフィット処理」を実施して再評価した結果が図3です。この図では、赤の実線が青の点線の間に収まっています。つまり、カム形状の加工は概ね良好に行われているが、加工機に素材を設置する際の取り付け精度に問題があると判断できます。
 このように、得られた測定データを単に合否判定として使用するだけでなく、ベストフィット処理等の解析を実施し、不具合が生じている原因究明や改善策の提示まで活用することで、加工現場へ効果的なフィードバックを行うことができます。
 多くの企業で、加工工程と、検査工程では部署が異なることから、その連携不足が長年課題とされてきました。デジタルデータをうまく活用することで、連携不足を解消し我が国の強みである高度な加工技術の効率化が期待されます。

3.おわりに

 産業技術センターでは、三次元形状測定の相談や依頼試験を行っています。相談内容をお聞きしながら、最適な測定機を用いて測定した結果を、種々の解析ツールを用いて加工技術者の方に分かりやすい形にして提供しています。お気軽にお問い合わせください。

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