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バイオプラスチックの動向と木質成形体
産業技術センター 化学材料室

記事更新日.22.01

あいち産業科学技術総合センター 

■問合せ先
〒448-0013 刈谷市恩田町1-157-1
TEL 0566-24-1841  FAX 0566-22-8033

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1.バイオプラスチックの動向 

 近年、海洋に流れ出るプラスチックごみの問題、中国や東南アジアによる使用済みプラスチックの輸入禁止、化石資源の焼却によるCO2の発生など、プラスチックを取り巻く課題が大きく取り上げられています。このような状況に対応するために、日本では、2019年に「プラスチック資源循環戦略」が策定されました。本戦略では、これまでの3R(リデュース、リユース、リサイクル)にリニューアブル(再生可能)を加えた「3R+Renewable」を基本原則として掲げ、プラスチック製容器包装・製品の原料を、再生可能資源由来の素材に切り替えていく等の方針を提示するとともに、2030年までにバイオプラスチックを最大限(約200万トン)導入することを目標値として掲げています。
 バイオプラスチックとは、再生産可能なバイオマスを原料とする「バイオマスプラスチック」と、原料によらず微生物によって生分解される「生分解性プラスチック」の総称です。バイオマスプラスチックの中には、バイオPEやバイオPCといった化石資源の原料をバイオマス由来に置き換えた非生分解性のものと、PLAやPHA、デンプン系樹脂のように生分解性をもつものがあります。
 2021年に策定された「バイオプラスチック導入ロードマップ」では、プラスチック製品領域毎の導入に適したバイオプラスチックが示されており、生分解性プラスチックの導入を進める製品領域は、堆肥化・バイオガス化等に用いる生ごみ用収集袋、農業用マルチフィルム、肥料に用いる被覆材、漁具等水産用生産資材(必ずしも高い強度や耐久性が求められない場合)としています。また、可燃ごみ用収集袋は、燃やすことを前提とするためバイオマスプラスチック(非生分解性)の導入を、その他の容器包装、電気・電子機器、日用品、建材、輸送、農林・水産の製品領域は、リサイクルを前提とするので、バイオマス由来の汎用プラスチック(バイオPE、PP、PET等)または高機能プラスチック(バイオPA、PC等)の導入を基本方針としています。詳細は、環境省_バイオプラスチック導入ロードマップ (env.go.jp)を参照してください。

2.木質成形体について

 このような社会情勢の中、カーボンニュートラルな木質バイオマスの活用技術開発が求められています。産業技術センターでは、以前、木質系材料100%の成形体の開発に取り組みました。これは、木質系材料を蒸気処理すると、熱流動性と自己接着性を発現することを利用しています。つまり、熱可塑性樹脂のように熱により軟化し、接着剤や他の樹脂を添加しなくても、自身の成分で接着し成形物を作ることができます。実際は、熱可塑性樹脂ほどの流動性はないので、高い圧力をかけて成形しています。図に木質成形体の様子を示します。金型に蒸気処理木粉を入れ、熱プレス機で加熱加圧成形することにより、樹脂様の成形物を作ることができます。金型内に木粉を流し込むことで、カップのような形状のものを成形することも可能です。また、切削加工などの後加工もできます。

 木質成形体の物性としては、曲げ強さは65MPa程度とPPやABS樹脂と同等の強度があり、熱膨張率が小さいという長所がありますが、耐衝撃性や耐水性は低いという短所もあります。
 木質成形体は、蒸気処理という比較的簡易な処理により、成分を取り出すことなく成形用材料として利用できます。また、木材や竹をはじめ、もみ殻や刈草など様々なリグノセルロース系材料を利用することが可能です。成形性やにおいといった課題もありますが、バイオマスプラスチックの一つとして、家具部材や工業部材などに利用されることが期待されます。

 産業技術センターでは、今後もバイオマス及びバイオマスプラスチックの活用技術に関する研究を行っていきます。ご興味をお持ちになられた方は、当センターまでお問い合わせください。

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