2.木質成形体について
このような社会情勢の中、カーボンニュートラルな木質バイオマスの活用技術開発が求められています。産業技術センターでは、以前、木質系材料100%の成形体の開発に取り組みました。これは、木質系材料を蒸気処理すると、熱流動性と自己接着性を発現することを利用しています。つまり、熱可塑性樹脂のように熱により軟化し、接着剤や他の樹脂を添加しなくても、自身の成分で接着し成形物を作ることができます。実際は、熱可塑性樹脂ほどの流動性はないので、高い圧力をかけて成形しています。図に木質成形体の様子を示します。金型に蒸気処理木粉を入れ、熱プレス機で加熱加圧成形することにより、樹脂様の成形物を作ることができます。金型内に木粉を流し込むことで、カップのような形状のものを成形することも可能です。また、切削加工などの後加工もできます。
木質成形体の物性としては、曲げ強さは65MPa程度とPPやABS樹脂と同等の強度があり、熱膨張率が小さいという長所がありますが、耐衝撃性や耐水性は低いという短所もあります。
木質成形体は、蒸気処理という比較的簡易な処理により、成分を取り出すことなく成形用材料として利用できます。また、木材や竹をはじめ、もみ殻や刈草など様々なリグノセルロース系材料を利用することが可能です。成形性やにおいといった課題もありますが、バイオマスプラスチックの一つとして、家具部材や工業部材などに利用されることが期待されます。
産業技術センターでは、今後もバイオマス及びバイオマスプラスチックの活用技術に関する研究を行っていきます。ご興味をお持ちになられた方は、当センターまでお問い合わせください。
|