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フランス政府が仏自動車産業支援のため大型対策を発表
記事更新日.09.01.05
社本 朗
愛知県パリ産業情報センター 駐在員

愛知県サンフランシスコ産業情報センター
愛知県上海産業情報センター
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フランス政府は2008年12月4日、最近の金融危機に端を発する経済停滞に対して、自動車産業等主要産業支援、公共投資(公共住宅建設、鉄道網建設など)による内需拡大を目玉とする大型経済対策を発表しました。

現在、フランス自動車産業は、フランス国内の2008年11月の販売実績が前年度比で14%落ち込むなど停滞感が顕著になっています。

メーカー別でも、ルノーが4,900名の自主退職を募るなど、フランス労働人口の約10%を占める自動車産業では経営側、労働者側双方に危機感が広がっています。

今回発表された経済対策では、古い車の新車への買替えを促す販売促進策と、自動車下請け企業への金融面のサポートが大きい柱となりました。

■フランス政府の大型経済対策(自動車産業分野)
サルコジ仏大統領は12月4日、「現在大きな困難に直面している自動車産業を救済するためにどのようなことでもする用意がある。」と発言し、以下のような対策を自動車産業向けに発表しました。

1. 10年以上使用した古い車を新車に買替する際の給付金
    (1,000ユーロ(約120,000円))

既にフランスでは2007年12月5日以降に注文された新車に対して、自動車の1Km走行当たりのCO2排出に基づいて給付または課徴金を課す「ボーナス/ペナルティー制度(bonus malus)」を実施しています。

この制度はCO2排気量130g以下の新車には最高額1,000ユーロとするボーナスを提供する一方、排気量160g以上のものにはペナルティーを課す内容です。

制度導入時は15年以上使用した古い自動車を廃車してCO2排出量の低い新車を購入する場合には更に300ユーロの「スーパーボーナス」が給付されるという内容でしたが、今回導入された新給付金はこれを強化したものになっています。

この措置は商用車も対象になり、2009年末まで継続される予定です。
予算としては2億2千万ユーロ(22万台分)が用意されています。

2. ルノー及びプジョー・シトロエングループ系金融(カーローン)会社に対してそれぞれ5億ユーロ(約600億円)の融資
フランスでは75%の乗用車はローンを利用して購入されていますが、最近の金融収縮によって個人の多額のローン使用が困難となるケースが増えていました。

販売を促進する大きな要素であるローン使用を確実にすることで、新車を買いやすくする措置となっており、フランスの二大メーカーからは高く評価されています。

3. 下請自動車部品会社支援のための3億ユーロ(約360億円)投資ファンドの設立
このファンドは、下請け自動車部品会社がフランス国内で設備投資などを行うときに利用できるものです。

金融収縮により下請中小企業が銀行から融資を受けにくくなっている現状を打開するために設けられました。

国、ルノー、プジョー・シトロエングループが各1億ユーロ(120億円)を出資し、設置される予定です。

■フランス自動車産業の現状
ACEA(欧州自動車工業会)などの資料によれば、フランス国内にはメーカーの最終組み立て工場が25ヶ所存在しています。

メーカーごとの2008年9月以降の対応状況、各工場における操業停止等の情報を下表のとおりまとめてみました。(2008年12月時点。)

12月がクリスマスバカンスであるということを考慮しても年末にかけて多くの操業停止が予定されており、特にフランス車メーカーがいかに現在の経済停滞の影響を大きく受けているかがわかります。
メーカー名 場 所 (地域圏) 現在の状況
プジョー・シトロエン(6ケ所) Aulnay-sous-Bois (イル・ド・フランス) ・3,550人の自主退職  
Hordain (ノール・パ・ド・カレ) 16日間操業停止(12月)
Mulhouse (アルザス) 18日間操業停止(9-11月)
19日間操業停止(12-1月)
Poissy (イル・ド・フランス) 37日間操業停止(12月)
Rennes (ブルターニュ) 850人自主退職、900人の再配置
2009年1月から一時帰休1週間/月
25日間操業停止(12月)
現在30%の減産
Sochaux (フランシュ・コンテ) 18日間操業停止(12-1月)
ルノー (6ケ所) Batilly (ロレーヌ) ・4,900人の自主退職
・本社、研究所2週間休業(12-1月)
2週間操業停止(12-1月)
Dieppe (オート・ノルマンディ) 1週間操業停止(12-1月)
Douai (ノール・パ・ド・カレ) 2週間操業停止(12-1月)
Flins (イル・ド・フランス) 15日間操業停止(12-1月)
Maubeuge (ノール・パ・ド・カレ) 2週間操業停止(12-1月)
Sandouville (オート・ノルマンディ) 1,000人自主退職
9月から一時帰休1週間/2週間
トヨタ Valenciennes (ノール・パ・ド・カレ) 2週間操業停止(12-1月)
1週間操業停止(3月)
2月から20%の減産
スカニア Angers (ペイ・ド・ラ・ロワール) 1カ月間操業停止(12-1月)
ダイムラー(2ヶ所) Hambach (ロレーヌ) -  
Ligny-en-Barrois (ロレーヌ) -  
フィアット(2ヶ所) Annonay (ローヌ・アルプ) -  
Hordain (ノール・パ・ド・カレ) -  
ゼネラル・モーターズ(2ヶ所) Cerisay (ポワトゥー=シャラント) -  
Batilly (ロレーヌ) -  
ボルボ(4ヶ所) Blainville-sur-Orne (バス・ノルマンディ) -  
Bourg-en-Bresse (ローヌ・アルプ) -  
Limoges (リムザン) -  
Venissieux (ローヌ・アルプ) -  
フォルクスワーゲン Molsheim (アルザス)
-  

■まとめ
ルノーのカルロス・ゴーン社長は、この大型対策は来年15%落ち込むと見込まれていたフランスでの自動車販売を5%程度まで盛り返す効力があるのではないか、と発言しています。
この対策が起爆剤となり、自動車販売等内需が拡大することが期待されています。
 
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