AARIアジア中小企業レポート
株式会社愛知アジア総合研究所(AARI) 記事更新日.12.05.01
製造業を中心とした愛知県および東海地域の中小企業に向けて、アジア各都市とのコネクションと様々なソリューションに関わるノウハウをもとに、技術支援、品質管理支援、環境対策支援等、ソフト面での海外進出をサポート。第一弾として、中国江蘇省常州市への進出サポートを展開中。
■問合せ先
〒460-0011 名古屋市中区大須2-23-36 ラディアント大須2F
電話 052-205-8033 FAX 052-205-8034
E-mail info@aa-ri.cojp URL http://www.aa-ri.co.jp
■第1回 「ARRIアジア中小企業レポート」連載に際して

執筆者:株式会社愛知アジア総合研究所 代表取締役 乗松薫
1970年名古屋市生まれ。1996年早稲田大学法学部を卒業後、岩手朝日テレビを経て、2000年ヤフー株式会社入社。2003年、名古屋にて株式会社ミルゲート(旧 有限会社エヌ・プランニング)を創業。以後、WEB領域を中心に、ナショナルクライアントから中小製造業まで、数多くの企業の国内およびアジア地域へ向けたプロモーション業務に携わる。専門領域は国内およびアジア市場へのプロモーションプランニングおよびコピーライティング。2012年3月、株式会社愛知アジア総合研究所を設立し、代表取締役に就任。

■中小企業のアジア進出に役立つ生の情報をお届けします

今月から1年間に渡って、株式会社愛知アジア総合研究所(略称:AARI)で「AARIアジア中小企業レポート」を連載させていただくことになりました。

AARIは、愛知とアジアを結ぶ仲介役として、製造業を中心としたクライアントに向けてソフト面でのアジア進出サポートを始め様々なコンサルティング業務を行っていく会社です。創業の経緯等は、以前に本サイト上に掲載させていただいた記事
に詳しく書かせていただきましたが、AARIが目指すのは、「より具体的なローカル同士の交流」、つまり「製造業の点と点での海外交流」です。その第一弾として、中国江蘇省常州市政府と連携した常州市への進出支援プロジェクトを展開中なのですが、このコーナーでは常州市関連の情報だけではなく、中国以外のアジア各国および各都市にも範囲を広げて、中小企業のアジア進出に役立つような生の情報をお届けしていきます。

具体的にはAARIのメンバーが実際に現地を訪問して、或いは現地企業に取材して得た
・アジア各都市の中小ローカル製造業の現状
・アジア各都市に進出した日系中小製造業の現状
・アジア進出に際しての知財、法律、税務、IT等に関する諸問題と対策
・その他、アジア各都市の情報
等を、できる限り詳細にわたってお届けしたいと考えております。

■今、点と点とにこだわるワケ

円高、少子高齢化、新興国の台頭、そして震災等々、ここ数年日本の製造業を取り巻く状況は厳しく、そんな中でしばしば聞かれるのが「中小製造業が生き残る道は海外進出しかない」といった類の台詞です。しかし、数多ある中小製造業の中で、自力で海外進出を実現できる企業が一体どれだけあるというのでしょうか。また、仮に海外進出を果たしたとしても、中小製造業の多くは、日本国内と同じく大企業を頂点とする垂直構造の枠組みの一端をそのまま海外で担うにとどまっているのではないでしょうか。
勿論、これまで日本の成長を支えてきた大企業をヒエラルキーの頂点とした構造そのものを否定するわけではありません。しかし、大企業の選に漏れ、しかも盤石な資本力を持たない中小製造業は、海外進出そのものを諦めるべきなのでしょうか?私たちAARIは、こんな風に考えます。オンリーワンの技術力さえあれば、きっとアジアのどこかに、その会社を求めている企業や市場がある、と。そのアジアのどこかの企業を探しあて、愛知県を中心とした中小製造業の皆さんにご紹介していくことが、私たちAARIのミッションだと考えています。

そしてもうひとつ。冒頭でも述べたように、AARIは「より具体的なローカル同士の交流」を目指しています。現在中小製造業の海外進出をサポートする情報は無数に存在し、例えば中国国内で開催される日系企業向けの展示会ひとつをとっても、毎月各地で幾つも開催され、余程中国事情に精通した企業でなければ情報の取捨選択に窮してしまうような、いわば情報過多な状況になっています。また、展示会を訪れる中国側企業の情報を事前に入手できることは稀で、出会った中国企業がパートナーとして適当かどうかの判断が非常に難しく、且つ判断までに非常に時間がかかってしまうため、費用を投じて展示会に出展したものの、結局はパートナーを見つけられずじまいといったケースが多いのではないでしょうか。
AARIでは、サポートをさせていただく日本側の中小製造業を、私たちが実際にお話しを聞き、事業の内容や技術の特性を理解できる愛知県および東海地域の企業様に限定し、さらに相手側もアジアの特定都市の企業の中から絞り込んでいきます。いわば、点と点との交流を掘り下げていくことによって、より確かで、より的確なパートナー探しを実現させていきたいと考えています。その第一弾が、中国江蘇省常州市との交流プロジェクトなのです。

■江蘇省常州市のこと

常州市の製造業の現場、街の様子などは次回以降詳細にレポートしていくとして、ここでは最後に常州市の概況を少しだけ紹介させていただきます。

江蘇省常州市は長江デルタの中心部、上海を起点とすると西に約160km、南京行きの新幹線で蘇州、無錫と著名な都市を通って約1時間の距離に位置します。今年3月の市政府の発表によると、人口は4,591,972人、2011年のGDPは3,580.4億元で、これは2010年の12.2%増だとのこと。都市の階級としては3級都市に属し、日本からも多くの大手メーカーが進出している工業が盛んな都市です。実際に常州を訪問した印象から言うと、交通も便利で、街並みもきれいに整備され、とりあえず生活に必要な商店や施設がひと通り揃っている、そこそこに発展した都市といったところでしょうか。シェラトンやシャングリラ系列などの5つ星ホテルにカルフールやウォールマートなどの外資系スーパー、そして最近できた大型のショッピングモールにはスターバックスやZARAなども出店しています。



この2年余り、私たちは常州市を頻繁に訪問し、市政府との良好な関係を構築してきました。その関係性をもとに、AARIを通して愛知県の中小製造業の皆様に、常州市中小製造業との技術面や管理面での交流をサポートしていくプロジェクトを開始したわけです。単に安価な労働力を求められるのであれば、常州市以外の都市を検討されることをお勧めします。幾度とない訪問や現地の工場視察を経て、AARIでは、常州市を安価な労働力確保の為の都市ではなく、日本側中小製造業にとって技術支援やの管理支援の側面から良好な関係が築きやすい都市だと考えたわけです。


次回以降、常州市の実際の製造業の現場を詳細にレポートしていく予定です。ご期待ください。                                (次回に続く) ※AARIが提供するサービス、及び常州市プロジェクトの最新情報はAARIのWEBサイトhttp://www.aa-ri.co.jp をご覧ください。情報は随時更新予定です。