AARIアジア中小企業レポート
株式会社愛知アジア総合研究所(AARI)

記事更新日.12.06.14

製造業を中心とした愛知県および東海地域の中小企業に向けて、アジア各都市とのコネクションと様々なソリューションに関わるノウハウをもとに、技術支援、品質管理支援、環境対策支援等、ソフト面での海外進出をサポート。第一弾として、中国江蘇省常州市への進出サポートを展開中。
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■第2回 中国インターネット事情

執筆者:株式会社愛知アジア総合研究所 代表取締役 乗松薫
1970年名古屋市生まれ。1996年早稲田大学法学部を卒業後、岩手朝日テレビを経て、2000年ヤフー株式会社入社。2003年、名古屋にて株式会社ミルゲート(旧 有限会社エヌ・プランニング)を創業。以後、WEB領域を中心に、ナショナルクライアントから中小製造業まで、数多くの企業の国内およびアジア地域へ向けたプロモーション業務に携わる。専門領域は国内およびアジア市場へのプロモーションプランニングおよびコピーライティング。2012年3月、株式会社愛知アジア総合研究所を設立し、代表取締役に就任。

■貴社のホームページは本当に「中国」に発信されているか

第2回目は、少し常州市から離れて、日本から中国への情報発信、中でもホームページを利用した情報発信についてレポートしてみたいと思います。

ホームページを開設し、インターネットを通じて企業情報を発信する。そんな取り組みを、多くの企業が実施していることと思います。会社パンフレットの代わりとして、営業ツールとして、或いは採用ツールとして利用されるホームページ。最近では、日本語や英語だけでなく、中国語のページを開設して、中国への情報発信に取り組んでいる企業も多く見られます。
では、本当に貴社のホームページは「中国」に発信されているのでしょうか?

■中国からホームページを閲覧できないことが!

原則としてインターネットは全世界に通じた情報網ですから、例えば弊社AARIのURL、www.aa-ri.co.jpを直接ブラウザに入力するなどすれば、表示速度の速い遅いはあるものの、原則、世界中のどこからでもAARIのホームページを閲覧することが可能です。
例えば海外の取引先に貴社の概要を知らせたい場合などは、メールにURLを記載し、相手国側でメールを受け取ったユーザーがそれをクリックすれば貴社のホームページが閲覧できるわけですから、少なくとも会社パンフレットとしての役割は十分に果たせるはずです。
ところが、中国では上記のような手続きを経てもホームページを閲覧できないという現象が多々発生しています。実際、AARIでお付き合いのある企業の中でも、製造業や観光業等々、業種を問わずいくつかの企業のホームページが中国から閲覧できない、或いは表示が異常に遅くタイムアウトしてしまうといった問題をかかえています。
そのような企業のホームページに共通しているのが、
日本のサーバー上で中国向けホームページを公開している
ということです。
その理由は後述しますが、日本のサーバーで中国向けホームページを公開するということは、常に
・中国から閲覧できなくなる可能性がある
・表示するまでに異常に時間がかかる
といったリスクをかかえているのです。

■検索エンジンに表示されないことも!

ホームページを営業ツールとして捉えた場合、重要になってくるのは、俗にSEOと呼ばれる検索エンジン対策です。
例えば、貴社が「真空熱処理」をメインとしている熱処理メーカーだとします。その場合、まず日本語のホームページにおいては、Yahoo!JAPANやGoogleといった日本国内の検索エンジンで、例えば「真空熱処理 愛知」といったキーワードで検索したときに上位に表示されることを目指すことでしょう。これによって、未だ見ぬ国内の企業担当者からの問合せが増えることを目標にするわけです。
中国語ページの場合も同様に、中国からの問合せを増やすためには中国の検索エンジンでの検索結果に上位表示される必要があります。先の例で言うならば、「真空熱処理」の中国語訳「真空??理」というキーワードでの上位表示を目指すわけですが、恐らく多くの日本企業のホームページは
・中国の検索エンジンで上位表示されない
・場合によっては検索結果に表示すらされない
といった状況にあります。これは、
中国の検索エンジン向けのSEOが施されていない
ということと同時に、前述した
日本のサーバー上で中国向けホームページを公開している
ということが大きな原因になっていると考えられます。

『中国語ページをつくったけれど、全く問い合わせが無い』といった声をよく耳にしますが、そのような企業のホームページは、大抵の場合、日本のサーバー上で公開されていて、中国の検索エンジン対策が施されていません。その結果、中国の検索サイトで検索したユーザーの目にとまっておらず、場合によっては中国からの閲覧すらできない、つまり中国に発信されていないわけですから、問い合わせが無くて当然というわけです。


■グレート・ファイアー・ウォールの壁

何故日本のサーバーで公開されたホームページは、中国から閲覧できなかったり、中国の検索エンジンで上位表示されにくいといった問題をかかえることになるのでしょうか?
それには、中国に存在する「グレート・ファイアー・ウォール」と呼ばれるインターネット上の情報検閲が大きく関係してきます。
簡単に言うと、中国国内から海外のホームページを閲覧する際には常に情報検閲がされており、その結果、表示速度が遅れたり、場合によっては有害と認定されて閲覧が遮断されるといった結果を生み出すことになるわけです。例えば、日本でも多くのユーザーが利用している「YouTube」「Twitter」「Facebook」などのSNSの類は、基本的に中国からは閲覧できませんし、検索エンジンにおいても「Google」が中国本土から撤退したように、フィルタリングされていない情報を閲覧できるようなWebメディアはグレート・ファイアー・ウォールによって遮断を余儀なくされています。
そのため、中国では当局のガイドラインに沿った中国独自のWebメディアが発展していて、例えば検索エンジンでは「百度」が、ミニブログでは「新浪微博」が圧倒的な国内シェアを誇っています。ちなみに、中国本土での「百度」のシェアは80%近くとなっているので、中国での検索エンジン対策はすなわち百度対策になるといっても過言ではありません。


 

■ホームページを中国に発信するには

では、中国から貴社のホームページが快適な速度で閲覧され、さらに検索エンジンにも上位表示されるためにはどのような対策をとればよいのでしょうか。

まず、貴社の中国語ホームページを、日本のサーバーではなく、中国本土または香港のサーバーで公開する必要があります。ただし、中国のサーバー上で公開するためにはICP登録という認証を得る必要があり、これは原則的に中国国内の法人にしか付与されないため、現地法人を持たない企業の場合には、ICP登録の必要が無い香港のサーバーで中国語ホームページを公開することが得策になります。

次に、中国の検索エンジンで上位表示されるための対策、現実的には百度対策になるわけですが、これも中国本土または香港のサーバーで公開した上で、百度のガイドラインに沿った対策を施す必要があります。ただし、百度対策には専門的な知識を持った継続的な作業が必要となってきますので、容易ではないことをお伝えしておきます。

いずれにしても、『中国語ページをつくったけれど、全く問い合わせが無い』という問題をかかえていらっしゃる企業の方は、前述のような中国の特殊なインターネット事情を理解した上で、まずは中国本土か香港のサーバー上でホームページを公開する対策を施してみてはいかがでしょうか。ただし、特殊なインターネット事情を持つ中国ですので、そのような対策を施しても尚、閲覧遮断の事態を100%避けられるとは申し上げられませんが・・・。

ご不明な点ありましたら、お気軽にAARIまでご連絡ください。

(次回に続く)



※AARIが提供するサービス、及び常州市プロジェクトの最新情報はAARIのWEBサイトhttp://www.aa-ri.co.jp をご覧ください。情報は随時更新予定です。