2年ぶりに訪れたバンコクは、屋台と渋滞とクラクションの間を人が行き交う、そんな相変わらずの熱気にあふれていましたが、以前と少し違った印象を受けたのが、すれ違うクルマの新しさ。 以前はボロボロのクルマをちらほらと見かけたのですが、今回渋滞の道路を埋め尽くしていたのはキレイで新しいクルマが多く、それも殆どが日本のメーカーのものでした。
何でも昨年9月から、クルマを始めて購入する国民に対し、1500cc以下のクルマの購入に限って自動車物品税を最大10万バーツまで還元するという減税措置が開始され、その影響もあってクルマが売れている様子。さらに、元々タイでは新車販売の90%が日本車といわれるほど日本車の需要が高く、そのため渋滞を埋め尽くすクルマの殆どがトヨタ、ホンダ、三菱などの日系メーカーだったというわけです。
私たちのバンコク滞在中に「トヨタ・モーター・タイランド設立50周年式典」が開かれ、その中で豊田章男社長が「近い将来、タイでの生産能力を年100万台にまで引き上げたい」(現在は67万台)と話したそうですが、いずれにせよ、昨年の洪水の影響を殆ど感じさせることもなく、タイの自動車産業は随分好調な様子。日本からの進出企業も部品メーカーを中心に更に増えており、十分に整備されたサプライチェーンと洪水対策が、引き続きタイでの日本車生産台数を増やしていくと予想されています。
今回G-Inのメンバーは、熱処理工場とプレス加工工場の、いずれも自動車産業に関わる2社を訪問しました。詳細な情報はここでは割愛させていただきますが、2社ともタイの自動車産業の好況ぶりを反映して活況を呈している様子で、2015年までは増産傾向が予想されているとのこと。
先にあげた減税措置が終了した時の国内需要の低下や、バーツ高になった時の輸出力の低下といった不安要素はあるものの、タイ以外のASEAN諸国をも視野に入れた場合の立地条件や国民の親日具合を考えると、中小企業にとって、まだまだタイは進出候補として魅力ある国だといえそうです。
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